■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻を…(7)
- カテゴリ:その他
- 2010/10/11 23:30:29
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の彫刻を論ずる書 第三(1)
第三
トルワ゛ルゼンは千八百四十四年七十五歳で故郷コーペンハーゲンに頓死した。彼れは前後二回にわたつて十餘年間ローマに留まつてゐた。其の名作數あるが中に、始めて名聲を搏しかけた初期の作は多く古ギリシアの神話などに材を取つた。中ごろは基督に材を取つた宗教的のものが多く續いて、後動物研究に入つて有名な獅子の彫刻などを殘した。それから空想的寓意的の材に移つて、夜、朝等のレリーフ彫刻を殘した。而して後ち今一度古ギリシアの題材に歸つたのは後年腕のます/\冴えた頃である。寫眞に示した『マーキュリー』は此の期の作と知りたまへ。此の大理石像は今コーペンハーゲンのトルワ゛ルゼン美術館に藏してある。
--------------------
*註1:故郷
「郷」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/gou_kyou.jpg
*註2:前後
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg
*註3:神話
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註4:宗教
「教」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_oshieru.jpg
*註5:研究
「研」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ken_togu.jpg
*註6:彫刻
「彫」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyou_horu.jpg
「刻」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/koku_kizamu.jpg
*註7:空想
「空」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sora.jpg
*註8:ます/\
「/\」は踊り字・くの字点。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/odoriji.jpg
--------------------
■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
治りましたかよかったです^^
いつもコメント、ありがとうございます。
ゆうさんのコメントで、少し前に朝倉摂さん(舞台美術家)が
『週刊文春』でおっしゃっていた言葉をメモしておこう、と思ったまま、
すっかり忘れてしまっていたのを思い出しました♪
> 絵は二次元、彫刻は三次元、
> 舞台はそこに「時間」が加わった四次元の表現でしょう。
> それが新鮮でした。
(『週刊文春』2010年10月7日号/「新・家の履歴書 朝倉 摂」より)
抱月が、文芸評論だけでなく、絵画・彫刻、そして演劇と、
その評論や興味の対象を広げていくのは、
単純に、それは抱月がもともと“美学”を志した学徒だったから、
と思っていたのですが、
結果的には、抱月は演劇を死に場所にしたわけですが、
僕には、抱月が演劇にそこまでのめり込んだ真意が呑み込めませんでした。
仮説的には、演劇(新劇)が当時にあっては最先端の芸術としての可能性があり、
もし抱月が現代に生きていたら、アニメやTVゲームの人になったのでは
……というようなことをぼんやり妄想していました。
朝倉摂さんのお話を読んで、
ナルホド! 演劇(舞台芸術)にはそういう四次元の美、という視点があるんだ!
と、抱月の謎に1歩近づいたような気がしました。
彫刻よく彫れるもんだ。。昔の人俺無理^p^