Nicotto Town


-full coller program-


機動戦士ガンダム 公国の威信17

U.C.0087  6.10.


カレンの容態は日に日に快方へ向かっていった。
ユーリは2,3日といっていたが、18時間ほどで目を覚まし、翌日には会話も
少し出来るようになり、その回復ぶりにユーリもキムも驚きを隠せなかった。
その傍ら、A.E.R.のMS達はマライタ島の基地施設と備品などを利用し、
念入りに、全面的な整備と改良が行われた。
レーダー施設が充実していたため、MSをバラしての整備が
可能だったため、ジェネレータや冷却設備、配管などの
取替えなども行うことができ、基本スペックの向上も図れた。
この時間を利用し、コンピューターの権威でもあるブラッドリーが、
各MSのOSを改良していた。
整備士達はありあわせのパーツを加工し、MSやヴァレンスィアに
装着していき、その他のクルーは物資の搬入や、確認を行った。
たった3人で始まったA.E.R.のために、今は39人もの人が
全力を尽くして働いている光景を、艦底に300㎜ロケット砲を
取り付ける作業を仕切っているロザリオは、嬉しそうな表情で見つめていた。
しかし、仲間はそれだけではないことを、ロザリオだけでなく、
メンバー全員が自覚する、そんなに時間はかからなかった。

「7時方向に戦艦と思われる輝点!熱源トレーサの反応からいって… あ、アーガマ!」

ソナーによる哨戒を行っていたレイリーが叫んだ。
パイロット全員は2秒でスーツを着用し、外へ出た。
レンは、昔の光景が蘇るような気がした。
ぼんやり、ゆっくりとアーガマの姿が大きくなってきた。
荒々しい岩肌に柔かく着地し、タラップが下りた。
そこから、ヘルメットの中からでもわかる見覚えのある金髪が現れた。

「お久しぶりですね、クワトロ大尉」
「お元気なようで安心しました、ロザリオ大佐
 こちらのほうに用があってきたら貴鑑の信号をキャッチしまして」
「立ち話もなんです。中へどうぞ」

そして、クワトロと、アーガマの艦長のブライト・ノア、MSパイロットのレコア・ロンドが
マライタ島の狭苦しいブリーフィングルームへ入った。
ロザリオのほかに、ブラッドリーとレン、ジョゼフが同席した。

「気がかりなことがありましてね・・・」

クワトロが持参したフォルダから、数枚の書類を取り出し、ロザリオへと手渡した。

「ん・・・ムゥ・・・」

ロザリオは、それを隣のブラッドリーに突き出した。

「詳細は不明ですが・・・確かな筋からの情報です」

その書類にはティターンズの最新型主力MSの開発案が書かれていた。

「ここの近辺のコンペイ島でテストを行うそうで、
 まもなくティターンズの艦船が輸送してくるそうです。
 我々の作戦の障害になる可能性が濃厚な超高性能機と言われています」
「撃墜・・・せよと?」
「ええ」

ロザリオは口をつぐんだ。

「いき・・・ます」

レンが口を開いた。

「戦います、俺」




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