Nicotto Town


フリージア


瞳の中の少女…17

 僕は放送室に戻り、部のみんなと新年明けてからのスケジュールを決めていた。
 桂木も仙道君もそれぞれの部活に汗を流していた。
 しかし、こういう時に放送部のスケジュール会議は長引いた。通常なら一時間もあれば決めてしまうのに、みんなの意見が割れていつもより長時間かかってしまう。
 終わったときはもう、6時15分だった。
 やきもきして会議なんてそっちのけだった僕は、いそいで正面玄関に走った。そこには…。
 誰もいなかった。普通は待ってくれるはずだが…
 「真田!」
 声を掛けたのは、同じクラスでバスケ部の金田だった。
 「今、帰りか?」
 「ああ、金田、桂木知らないか?」
 「桂木?もう帰ったと思うぞ。なんかえらく慌しくしてたけど」
 「…そうか」
 僕は辺りを見回す。仙道君も井上さんもいない、桂木もいない。どうなっているんだ?
 「じゃあ、また明日な」
 金田は僕のあたふたした姿を気にも留めず、そそくさと帰っていった。
 どうしたらいいのか分からずにいると、そこにまた女子バスケ部の数人が帰り支度を終えて玄関へときた。喋ったことの無い同級生だったが、勇気を出して声を掛けた。
 「あの…1年生の井上さんはどこにいるか知らない?」
 女子たちは、なんか勘違いしているのかちょっと笑みを浮かべながら言う。
 「井上さんなら、仙道君が迎えに来てたわよ」
 「なんか送ってもらうみたいだったよ」
 「そう、ありがとう」
 女子たち数人はかなり誤解をしているようだ。僕のことを変な目で見ながら学校を後にした。
 そして、僕も学校を出た。
 どうして僕だけ置いてけぼりになったんだ?遅れたといっても数分だ。それなのになんで?とりあえず走った。
 その時、ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。表示画面を見ると叔父と出ている。
 僕はその電話を無視して走り出した、重要な電話だとも知らずに。




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