数年前のこと、家の近くの自動販売機で、缶コーヒーを買おうとコインをいれた。
いつも購入しているお気に入りのコーヒーのボタンを押す。
ガッシャと下の出口におちる音。
手にすると”お茶”である。
何で？
と、販売機のまわりを探偵のように虫眼鏡もって、一周したい気持ちになった。
無糖がカフェオレくらいの違いなら、まだしも、お茶って！
少し、カリカリしたものの、これで、わざわざ連絡を入れるのもと思い、
ただのケアレスミスだといいきかせ、虚脱感の中、そこをあとにした。

そして、数ヵ月後、そんなことを、一切忘れていたボクは、
いつもの缶コーヒーが飲みたくて、その販売機にコインを入れた。
ガッシャ。
手にすると、”お茶”
あ、そうだ！ここはあれだったんだ。と、記憶がよみがえる。
ちくしょー！
まだ、直ってなかったのか！
ああ、こうなったら勝負だ。
お前が心をいれかえて、お茶をコーヒーに改めるのが先か、
俺が、お前のいいかげんさに、屈しあきらめるのが先か。
また、明日も来るから覚えとけ！

あくる日、彼の頑固さに、ボクは簡単に屈した。
「もしもし、お宅がおいてる販売機なんだけど、、、、」
二度とこんな被害者が、続出してはいけないと思い
一世一代の世直しに出たのだ。（←何様？）

後日、ボクの自宅に3本の缶コーヒーが、届いた。
管理人がいうには、スーツを着た人が手に３本の缶コーヒーを
持ち、私に渡してほしいと置いていったそうだ。
販売機は、もう直しておりますので、と、いうコメントを残し。
この虚しさは、なんだろう？
あまりに簡単な世直しにである。

後日、その販売機を見るとボクのお気に入りの缶コーヒーがなくなり、
お茶になっていた。
心の中で思わず、

「そうじゃ、ないだろう！」

私の飽くなき戦いは続くのであった、、、、