Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


小説

ユリ01「旅」

(6)
「これからどうするの」
奴に聞いた。
「待たせてある」
「何を?」
「飛行機だ」
奴はあっさりと言う。私は、長いホームの真ん中当たりで立ち止まった。
「ねぇ」
「何だ」
「チビだね」
「五月蝿い」
自分より頭みっつ分くらい小さい奴をみて、私はにやりと笑った。
「ちゃんと食べてる?本当に11歳?」
わざとらしく言う。なんだか奴の弱みを見つけたようで。
「それ以上言うなよ」
奴は顔を伏せたままそういった。

美味しそう。ユリは唐突にそう思った。
ユリの変な視線に気づいたのか、奴はスナック菓子を差し出した。
「いる、のか?」
こくん、と頷くと奴は黙って袋を差し出し、そして聞いた。
「何故買わない」
ユリの持っている財布を指差す。
そのとき思った。こいつも旅をしているんだ。
旅に出るんだよ、そう言おうとしてから口をつぐんだ。
「どうした?」
ユリはにっこりと笑ってから言った。
「旅をしてるんだ、あんたと同じでね」
奴は黙りこくった。
袋の中を見ると、まだ半分以上中身が残っていた。
店内で食べるわけにも行かず、私は外に出た。

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2009/01/31 13:11
なんか、【旅】という単語がすごく重く聞こえてきました。

色々想像しちゃってます^^

彼にとっての【旅】とユリにとっての【旅】。
二人の旅の重さはどう違うのか?
二人の出会いになにか運命が関わっているのか?

続きを妄想させる展開ですね^^



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