Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


小説

ユリ01「旅」

(5)
「いい眺めだな」
奴は言った。わたしはそいつをじっと眺めた。
「そーだね」
電車の中では、あんなにも暑苦しかった奴は、何だかとても弱々しく見えた。
風が吹き付けるその無人駅からは、満開の桜がちらちら降るのが見えた。
しばらくその景色を眺めると、奴はいった。
「いくか」
奴は言った。
「そーだね」
桜はまだ降っている。

売店の自動ドアが開く。
店員の無機質な挨拶が聞こえた。
駅の売店が、こんなにも高く感じたのは初めてだ。
あぁこんなの買えないよ
結局何も買わずにユリは売店を出ることにした。
入り口近くで誰かにぶつかった。
「あっ」
誰かのもっていた何かが、床にこぼれた。
よく見るとそれはスナック菓子だった。
こいつは売店でスナック菓子を食べているのか。
恐るべし。
どうやら売店ではなく他所から買ってきたようだ。
恐るべし。
黒ずくめにマスク
恐るべし!!
それより一番驚いたのは、
そいつは私と同じような小学生だった。

アバター
2011/11/02 20:33
私も時の狭間からかと思ってました!!!
アバター
2009/01/31 13:09
うお!黒尽くめは小学生だったのか!
意外な展開に驚きました><

てっきり別世界かなにかの人かと思ってたのにw



Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.