Nicotto Town



ところてん 心太

結婚するまでは、売っているところてんを買って食べたことがありませんでした。

実家では、ところてんとは、手作りするものでした。
気が遠くなるほど、手間がかかりますが、最高においしい・・・。
今は、買って食べますが、あの味が恋しくて。

三浦半島は、テングサが打ち上げられます。
荒れた後の海が最高。春先に潮干狩りのついでに。
褐色の海草です。
砂浜に打ち上げられた、テングサを拾ってきます。

家に帰ったら、ひたすらバケツの水を取り替えては洗います。
廃材のトタン板に広げて干します。
からからになるまで干します。
庭木の水遣りのたびに、また水をかけます。
干しては水をかけることを、思い出したように繰り返します。
すると、褐色だった海草は、白っぽくなります。
よく乾燥して袋に保存します。

夏、保存してあった、それを出してきて、洗い、大なべで水と一緒に煮ます。
吹き零れないように、煮出します。ただでさえ暑い夏、火のそばで、汗だくになりながら。
さらしの布巾で作った漉し袋で漉します。
大きなステンレスのバットに流して、水を張ったシンクにバットごと浮かべます。
冷えてくると固まります。
ところてん突きに入る大きさの角柱状に切り分けます。
タッパーなどに移し、さらに冷蔵庫で冷やします。

きんきんに冷えたところてん。
しゅるっと突いて、ガラス鉢に落とします。
酢としょうゆをかけていただきます。
好みでからし、わさび、おろししょうが、刻みのりなどを加えたり。

拾ったモノで、こんなに手間ひまかけてまで作るというのが、貧乏臭く思う人もいるかもしれません。
でも、あの心の豊かさは何ものにもかえられない。
苦労して作ったからおいしいというのもありますが、ホンモノの味だというのもあると思います。
市販のところてんの材料は、テングサばかりではないみたいです。
それに、あんな海草どこにでもあると思っていたら、大間違い。
三浦の海にはあるけれど、大洗の海にはありませんでした。

そして、今は休みがない。
潮干狩りなんて、かれこれ10年してません。

え~ん。




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