■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(41)
- カテゴリ:その他
- 2010/08/21 06:29:58
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 九(5)
之れに比べて見ればルーソーはずつと自然的である。平凡な自然を平凡な自然として畫くといふ、忠實なネチュリズムの精神に合する。ミレーはもつと鋭い、恐らく此の一群に於いて精神の最も近代的なのは彼れであらう。其の『夕の祈』にせよ、『穗拾ひ』にせよ、常に人生の深い回顧を寓して、所謂近代的憂愁の調子に充ちてゐる。且つ彼れの作は風景畫から半ばジャンルの方に脱出したもので、人事を自然と合して畫くのが其の特色である。此の傾向を一層推し進めたのはクールベーであつて、自然の平凡卑小の人事をさながらに描かうといふのが其の立場である。彼れは飾らない平民の爲の風俗畫家を以て任じてゐた。
--------------------
*註1:之れに比べて
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:平凡・平民
「平」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hei.jpg」
*註3:畫く・風景畫・畫家
「畫」の俗字体(一説に本字とも)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ga_kaku.jpg
*註4:精神
「精」の正字体。旁の「青」の「月」は「円」。
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註5:合する。
原本では句点がないが脱字と思われるので改めた。
*註6:鋭い
「鋭」の旧字体。旁は「兌」。
*註7:近代
「近」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註8:『夕の祈』
[作品参照]⇒http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jean-Fran%C3%A7ois_Millet_-_L%27Ang%C3%A9lus.jpg
*註9:『穗拾ひ』
[作品参照]⇒http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Millet_Gleaners.jpg
*註10:回顧
「顧」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ko_kaerimiru.jpg
*註11:所謂
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
*註12:調子
「調」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/cyou_shiraberu.jpg
*註13:半ば
「半」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/han.jpg
*註14:脱出
「脱」の旧字体。旁が「兌」。
*註15:一層
「層」の旧字体。「曽」が「曾」。
*註16:進めた
「進」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註17:飾らない
「飾」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syoku.jpg
--------------------
■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
画像データだいぶ。貯まりましたよ
もうそろそろ。行けそうですよ国立図書館生本楽しみ
メイド巡り目的^^これからも。よろしく^^生げるぞるさん。みたいね^^
二コのですよ^^