■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(37)
- カテゴリ:その他
- 2010/08/17 00:01:47
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 九(1)
九
他の片方には裝飾主義もあれば新理想主義も神秘主義もあるが、それを儉する前に印象派との續き合ひを明にして置く必要がある。ホヰツスラー等の音樂派が源を酌んだといふ印象派の由來を明にするには、便宜のためすつと飛んで十九世紀繪畫の發端を一瞥しやう。
十九世紀繪畫の最要特色は前にマクコール氏も言つた如く、自然が自然として新しい意義を帶びて繪畫に這入つて來たことである。そして其の發端はイギリス十八世紀の後半に榮えたゲーンスボロー(T.Gainsborough)の風景畫である。是れがヨーロッパに於ける近代の風景畫の開祖であつて、同時にまた凡ての後の近代派が生ずる遠因といつてよい。西洋の畫壇にあつては風景畫はちやうど大自然に對する窓のやうなもので、少し畫壇の空氣が沈滯して腐りかけると、此の窓を開いて新しい自然の息を注ぎ込む。
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*註1:裝飾
「飾」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syoku.jpg
*註2:神秘
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註3:前に
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg
*註4:必要・最要
「要」の俗字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/you.jpg
*註5:音樂派
「音」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ne_oto.jpg
*註6:便宜
「便」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ben_tayori.jpg
*註7:世紀
「紀」の俗字(か?)。「糸」+「已」。
*註8:繪畫・風景畫・畫壇
「畫」の俗字体(一説に本字とも)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ga_kaku.jpg
*註9:一瞥
「瞥」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/betsu_miru.jpg
*註10:マクコール
デュガルド・サザーランド・マッコール(Dugald Sutherland MacColl/1859年〜1948年)のこと。イギリスの画家、美術評論家。
*註11:後半
「半」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/han.jpg
*註12:ゲーンスボロー
トマス・ゲインズバラ(Thomas Gainsborough/1727年〜1788年)のこと。イギリスの画家。
[作品参照]⇒http://commons.wikimedia.org/wiki/Thomas_Gainsborough
*註13:近代
「近」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註14:開祖
「祖」の旧字体。「示」+「且」。
*註15:遠因
「遠」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註16:空氣
「空」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sora.jpg
*註17:込む
「込」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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- ゆう公国@ゆう
- 2010/08/18 21:51
- 1つとばしたよ・見た・・終わり
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