■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(34)
- カテゴリ:その他
- 2010/08/14 11:37:00
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 七(6) - 八(1)
而して此の階段はやがて夫の自然主義の發足點である。ワーヅワースは山林を見、羊の群を見る目で人間を見て、此等のものの一つになる所に自然を見た。また十九世紀末の自然主義は人間が動植物と連り、土や空氣と連なるところに眞の意義を見んとした。凡て自然の立場から人間を見て人間を自然に引き直さうとする精神に外ならない。
八
以上の光りでホヰツスラー等が唱へる所を見ると、其の畫題を斥け物語畫を斥ける所に、ヒューマニズム、ロマンチシズムを嫌ふ心は明らかであるが、彼等は其の以上にネチュリズムをも斥ける。單なる風景畫、動物畫、靜物畫は、それが如何に精細に寫されてゐても、寫眞に外ならない、畫家は擴大鏡を用ふる寫眞師ではないといふ。寫生派、寫實派を斥けるから子チュリズムもおのづから斥けられるのである。のみならず彼等は進んで自然主義其物の大部分をも斥ける。此所からが即ち彼等の立場の困難となる始まりである。
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*註1:而して此の階段は
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:一つになる所・唱へる所・斥ける所・此所
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
*註3:世紀
「紀」の俗字(か?)。「糸」+「已」。
*註4:連り。連なる
「連」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註5:空氣
「空」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sora.jpg
*註6:精神・精細
「精」の正字体。旁の「青」の「月」は「円」。
「神」の旧字体。扁の「ネ」が「示」。
*註7:畫題・物語畫・風景畫・動物畫・靜物畫・畫家
「畫」の俗字体(一説に本字とも)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ga_kaku.jpg
*註8:嫌ふ
「嫌」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ken_iya.jpg
*註9:擴大鏡
「鏡」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kagami_kyou.jpg
*註10:子チュリズム
「子」は干支の「子丑寅……」の「子」。
*註11:進んで
「進」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註12:大部分
「分」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hun_wakeru.jpg
*註13:困難
「難」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/nan.jpg
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■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
記憶したらわすれんよ
マンガはね。。^^はりっきってますねー何かいいこと
有りましたか。ふーーウ画像データ疲れるね最近歳かなー^^