■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(32)
- カテゴリ:その他
- 2010/08/12 23:59:22
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 七(4)
人間が自然の上に影を投じてあらゆる自然は人間を説明するための寓意のやうに見えて來る。つまり自然を人間に引き直さねば承知しない思想である。而して此の風潮の最も著しく見はれたのはイギリスの繪畫の上であつて、例へば動物畫を以て古今第一と稱せられたランドシーヤー(E.H.Landseer)の後期の畫の如き、また現在でリヴヰエール(B.Riviere)の畫の如きがそれである。ランドシーヤーの『戰爭』と題する畫が軍馬の戰場で斃れる所を畫いて、人間の戰死の苦惱と同じものを現はさうとし『亂射』と題する畫が牝鹿の射られて血を垂らして絶命してゐる所を子鹿が無心に乳をあさつてゐる圖で、人間の同じやうな、哀れを出さうとしてゐるのなぞ其の適例と見られる。此の種の畫をまたイギリスでパセチック、ファラシー(Pathetic fallacy)といふ、似て非なる悲哀とでも意譯すべきであらう。
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*註1:人間が自然の上に
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:説明
「説」の旧字体。旁は「兌」。
*註3:著しく
「著」の正字体。(↓見本文字のクサカンムリが「十」+「十」なのが正字)
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tyo_arawasu.jpg
*註4:繪畫・動物畫・畫の如き・題する畫・此の種の畫
「畫」の俗字体(一説に本字とも)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ga_kaku.jpg
*註5:ランドシーヤー
エドウィン・ヘンリー・ランドシーア(Edwin Henry Landseer/1802年〜1873年)のこと。イギリスの画家。彫刻家。
[作品参照]⇒http://commons.wikimedia.org/wiki/Edwin_Landseer
*註6:リヴヰエール
「ヰ」は小文字表記。
ブリトン・リヴィエール(Briton Riviere/1840年〜1920年)のこと。イギリスの画家。
[作品参照]⇒http://www.artrenewal.org/pages/artist.php?artistid=419
*註7:『戰爭』
ネット検索してみたがこの画題の作品は見つけられず。類似モチーフで『The Faithful Hound』という作品を紹介しておく。
[作品参照]⇒http://www.racollection.org.uk/asset_arena/photo/large/37/PL000537.jpg
*註8:斃れる所・絶命してゐる所
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
「絶」の正字体。旁の「色」が「刀」+「巴」。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zetsu.jpg
*註9:『亂射』
ネット掲載の画題は不明だが、小サイズながらこの絵かと思われる。
[作品参照]⇒http://i.telegraph.co.uk/telegraph/multimedia/archive/01161/arts-graphics-2005_1161436a.jpg
*註10:適例
「適」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
催促したみたいで。ごめんね。・・なんかもう。コレ。趣味も世界ですね・俺
ずーーーときますよ・高校野球ですから・徹夜しないでよ・げるぞるさん
日付変更線ギリギリだったので、取り急ぎ途中までをいったん UP しました。(^_^;
いちおう、これで本文および註記は追加し終わりましたので、
お時間のあります時に再読していただけたら、と思います。m(_ _)m
手ぬきましたか。小さいとこ。少ないような
いいか・流星群ですからね