新小説第16話part3
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/09 01:15:01
新小説プロジェクト(?)第1作品『気分は雨時々曇り後晴れ―非日常の世迷言―』
第16話『狐啼キたるマデ』
part3
月灯「闇白って言ったっけ?あんた」
闇白「それがどうかしたか?」
月灯「あなた私と一度会ってるよね?」
闇白「そりゃここへくるまで歩き回っていたからな、もしかしたら会ってるかもな。」
月灯「そうじゃなくて、うーん…なんていうかさ、あなた前に影月って名前で通ってなかった?」
闇白「何故それを?…」
月灯「やっぱり…」
そう…あれは、一匹のバカ狼の名前だ…
闇白「残念だが…別人だ…」
月灯「うそ?!」
闇白「そいつは俺の知り合いでな、昔、一緒に旅をした仲間だ…」
月灯「そうだったの…どうして今居ないの?」
闇白「それはな…そいつは生死不明の状態で俺の前から消えたからだ。」
月灯「そんなことって…」
闇白「それがあるんだよ…そいつは…不思議な奴で俺にさえも心を開かなかったんだ…」
月灯「じゃあ、そいつは私にだけ心を開いたわけだ…」
闇白「そうさ…」
月灯「じゃあ話してあげようか…私に話してたこと」
闇白「結構…」
月灯「し、知ってるの?!」
闇白「いや、想像がつくからだ」
月灯「あんたにも心開いてたんじゃない!」
闇白「いぃや、心を閉ざしていたからこそ分かるんだよ…」
月灯「ふんっ、何分かったこと言ってんだか…」
闇白「見つけたぞ…土地神…」
月灯「残念、影月の事知りたかったのに…」
闇白「今は、土地神が最優先だ…」
月灯「分かっているわよ!」
土地神「ぬあっ!?」
闇白「ま、まさか…」
月灯「知り合い?」
土地神「くっ…貴様ぁ性懲りも無く…また…」
月灯「何かしたの?」
土地神「神族の女をまたたぶらかして!!」
月灯「うそっ!そんなことしたの?」
闇白「誤解だ…」
土地神「まさか帰って来るとは…どの面下げてきやがった!!」
闇白「だから…くっ…とりあえず…頼みがある…お前に…」
土地神「それが、人に頼む時の態度?」
闇白「そうか…なら脅しに移ろう…こいつは、俺の」
土地神「そ、それ以上言ったら殺すぞ!」
闇白「こいつは俺のもう一つの人格に恋をしやがった土地神だ。」
月灯「ん?何だって?」
土地神「ふぅ…聞いてなかった…」
闇白「とにかく…」
土地神「とにかく自己紹介からか…でもここは人が多い…」
闇白「お前の家でいいだろ?」
土地神「お、お前…私に何をするつもりだ?!」
闇白「あほかお前は」
土地神「ふんっ…こっちだ…」
月灯「…これがあんたの家なの?」
土地神「貧相で悪かったね…でもこれが普通ぐらいなのさ…」
闇白「変わらず…ぼろいな…」
土地神「歴史があるのさ…」
月灯「ところで、名前は?」
土地神「私は…月吉町月比良町(つきひらまち)を統べる者…小さい町だからね…あ、名前は、ヒヅミカミさ」
闇白「もう少し女っぽくしたらどうなんだ?」
ヒヅミカミ「殺すぞ…」
闇白「うっ…」
月灯「そんなことより聞かせてもらえる?」
ヒヅミカミ「何を?」
闇白「…知ってるだろ?」
ヒヅミカミ「そんな、まさか…必要とする時が来たの?この知識を」
闇白「やはり…土地神は知識を有していたか。」
…分からないね…俺は君が何をしようとしたのか…
君は旅をして、何らかの答えを導き出そうとした。
見つけたい…彼女なら見つけられるかもしれない…
だから俺はあの場所にいる…
続く
今日の名言
『自分が自分であることに誇りを持て。』
以上!