「ひまわり」(自作小説倶楽部お題)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/07/20 18:16:10
「意見の相違」
「きれいなひまわり!」
長い留守の後、ようやく帰ってきた彼女の第一声が、ウキウキと浮かれた声だった。
普通なら、留守番している僕に
「ただいま」
と声をかけるべきだと思う。非常に不愉快だったので
「びびっ!」
と抗議の鳴き声を上げた。しかし、彼女は謝るどころか、ニコニコして
「ピー君、ひまわりもらっちゃったんだよ~」
と未知の物体を「ひまわり」と称し、僕のはいってるかごに近づけた。
ビョォ~~~!?驚いてかごの反対側にしがみつき、抗議する。インコは見たことのない物を非常に警戒する性質があるのは、わかってるくせに!
「ほんと小心者なんだから」
彼女が「ひまわり」と呼ぶそれみ頬を近づけて、僕を笑った。なんだか、とても腹がたつ。その得体のしれない黄色い物体に男の気配を感じ、嫉妬がさらに加わる。
それにしても、彼女は、なぜ、あの黄色いおばけを「ひまわり」と呼ぶのだろう?ひまわりってのは、黒と白の縞々でおおわれた、とてもおいしい食べ物のことをいうのに。しかも、おいしいから、たくさん食べると太るといって、いつも三粒しかくれないじゃないか!
そんな、変なもの「ひまわり」と呼んで、僕の愛すべきひまわりといっしょみたいないい方するなっ!
「ビョビョっ!」
さらに抗議すると、
「なんだか、今日はご機嫌悪いのね?あ、嫉妬してるんだ?ふふふ」
嫉妬もしてるし、心配もしてるよ。君が今まで何回も泣いているのを、僕がなぐさめてきているのだから。そんな僕の気持ちなんかに気づかぬ彼女は黄色い未知のそれを、ぼくのかごの、真向いに飾りやがった。
そして、
「今日のピー君のご機嫌なおすのに、ひまわり5粒にサービスするか!」
あくまでもご機嫌の彼女は僕に由緒正しいひまわりを確かに5個にサービスしてくれた。
そして、おいしそうに頬張る僕から、あの黄色い物体に視線を移すと
「ひまわり、大好き!」
うれしそうにつぶやいた。あのさ、だからあれはひまわりでないでしょうが。モグモグひまわりを堪能しながら、僕は、だいぶ見慣れてきた黄色い物体に、彼女泣かせるなよと心の中で毒づいた。
(おわり)
黄色いお化けのようなひまわりの向こうにそれを贈った人の姿を見て、彼女の事を案じるビー君、男前です。
黄色と白黒
おばけと由緒正しい
あ~
面白かった。
花と鳥がセットで描かれます。インコとひまわりは、エキゾチックな
組み合わせでいいと思います。
私は常に文鳥を飼ってます(笑)
生き物(ペット)と飼い主の意見の相違。とても可愛らしいですね。
間違いを指摘したいけれど指摘できないもどかしさ。
インコの頭をちょんちょんと突きたくなってしまいます。
色々わかっていない頭で飼い主を心配する姿にほっこりしちゃいました。
(不機嫌)
どいつもこいつも(←すみません;;、毒舌オウムなんです~)、ピー君、ピー君
その前に、おうむたんにあいさつするのが筋ビヨっ
あげくに「ピー君と彼女」短編シリーズもいいなぁとか飼い主
いい気になりすぎビヨっ!!(怒)
その前に おうむたんが主人公の話 かくべきビヨっ
ピー君なんて、おうむたんからみたら、ひよっこビヨ!!!!!
インコの視点は斬新で、
とても参考になります^^
ユーモアがあって、とてもいい作品だと思います!
最後の一行に、ピー君が抱く 彼女への想いがギューっと込められていて
とてもいじらしく感じました。(^^)
なんとも可愛らしく、あたたかいお話ですね(^^)とってもステキです♪
私たちの周りにいる人間の言葉を話さない家族たちもみんな、
ピー君のようにあれこれ心配したり時には鋭い勘を働かせたりしているのかなと思うと、
嬉しいようなくすぐったいような…ちょっと色々バレるのが怖いような(笑)。
楽しく読ませていただきました!ありがとうございましたm(_ _)m
ピーくんがご主人様を陰ながら守るナイトのようで可愛いですね♪
インコを飼いたくなりました←
『由緒正しいひまわり』が効いてます。上手いなぁ。
今回の作品、私、とても好きです♪
笑顔いっぱいのご主人様をまるで執事のような老成した視点で見つめるインコのやりとりに、色んな深みを覚えさせられてとても面白かったです!(^0^)