■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を…(9)
- カテゴリ:その他
- 2010/07/19 08:43:18
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 二(2)
そこでイギリス畫界の現状に立ち戻つて、先づ水平線をローヤル、アカデミーの一派と假定すると、反動、新傾向などいふものは大抵之れと逆行する方面から見はれて來る。之は固より何の場合にも生ずべき自然の勢であらうが、其の昔ローヤル、アカデミーの出來たのに反抗して、ゼ、ソサイェチー、オブ、ブリチシュ、アーチスツが起こつて、今では以前ほどの反目軋轢は無いけれども、アカデミーに這入り得ない、從つて之れに抗爭の意を抱いてゐる美術家が往々此の會から驩迎せられ、今以て相對峙した二つの最大美術團體である。ちやうど昨秋文部省の展覧會と玉成會とが對峙したやうなものだ。近くは即ちホヰツスラーの如きもアカデミーには入らなかつたがブリチシュ、アーチスツ協會の方で始めて會長に迎へられて其の眞價を承認せられた。
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*註1:そこでイギリス
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:畫界
「畫」の俗字体(一説に本字とも)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ga_kaku.jpg
*註3:現状
「状」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyou.jpg
*註4:戻つて
「戻」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/modosu.jpg
*註5:水平線
「平」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hei.jpg
*註6:逆行
「逆」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註7:起こつて
「起」の正字体。旁の「己」が「巳」。
*註8:以前
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg
*註9:這入り
「這」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註10:驩迎・迎へられ
「迎」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註11:文部省
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg
*註12:玉成會
「国画玉成会」のこと。明治40年(1907年)8月、文展発足時の審査員の新派寄り人選を不満として旧派諸団体が正派同志会を結成したのに対抗して、新派系諸団体が「玉成会趣旨」を発表。古代における作画法の復興、現在絵画の発達、世界的趣味の調和を主張。9月には岡倉天心を会長に推戴し、国画玉成会と改称。翌1908年10月開催の第2回文展では、審査員の人選が旧派系へと移ったため文展不出品を決定。日本彫刻会と共同で展覧会を開くが、天心と衝突した尾竹竹坡('07年第1回文展に入選者)・国観の兄弟が脱会するという騒動があった。
*註13:近くは
「近」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註14:承認
「認」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mitomeru.jpg
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
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