Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


小説

(3)

ユリは家に帰りドアを開けた。
中は静まり返っていた。ごくりとつばを飲み込む。
ひんやりとした雰囲気は、まるでユリという異物を拒絶しているようだった。
いつもの棚をあさり、ユリは財布を取り出した。
自慢じゃあないが、貯金はたまっていた。
suikaを取り出す。たしか母さんが作ってくれた時に、五千円ぐらい入れてくれたはず。
結局一度も使わなかったけど。
声に出して言ってみる。
「旅に出るんだ」
変に枯れたような声になった。
まるで誰かに否定されたような気がして、もう一度いった。
「旅に出るんだよ」
枯れたような感じは残ったけど、しっかりとした声だった。
満足げに笑うと、ユリは家を出た。

アバター
2011/11/02 20:32
私も出たい!!
アバター
2009/01/31 13:02
>>ひんやりとした雰囲気は、まるでユリという異物を拒絶しているようだった。

ここの表現すごくいい!
表現がうまいですね!
自分の部屋に異物として拒否されるという表現で、今のユリが日常とかけ離れていることがわかります。

旅に出るユリ。

これから先のユリに何が待っているのか、どきどきします^^



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