プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂
- カテゴリ:映画
- 2010/06/19 23:30:47
今年21作目の映画舘鑑賞。
ディズニーの古代ペルシャ帝国を舞台に“時間の砂”を巡るアクション冒険ファンタジー映画。
同名のゲームが原案で、映画はゲームとは別物らしいです。
ファンタジー映画と書いたけど、ファンタジーにはなっていません。
もちろん、タイムスリップ系のSF要素もナシ。タイムパラドックスなんておきません。
“時間の砂”は、ご都合主義展開の為の単なる便利アイテムでした。
ファンタジーとしては、ちょっともったいなかった気もしますが、
派手なエンターテインメント娯楽大作になっていて、いちおうとても楽しかったです。
ただ、ストーリーがアメリカのイラク侵攻と重なるので、嫌な感じでした。
始まりはモロにイラク侵攻。
強大なペルシア帝国に敵に武器を密売をしたといいがかりをつけられ侵略される国は、
イラクとは正反対の静かで平和な聖なる都ですが。
娯楽作を何も考えずに楽しもうにも、侵略後の「武器の捜索」はどうしてもイラクを連想させます。
イラクを舞台にした映画を続けて観ているので、よけいそう感じるのかもしれませんが、
「武器」は悪者の故意の「誤情報」、イラクを連想するなと言われても難しいです。
その後、ストーリー上都合のよいところまで時間が戻されることになりますが、それは侵略後です。
そりゃあ、イラク侵攻はなかったことにはできませんね。
でも、ごめん、悪かった、今後は仲良くやっていこうなんてノリの結末って…。
侵略国に王子を押し付けて結婚させるって、征服したってことじゃない。
王子様と王女様のロマンチックなハッピーエンドなのに、
えええーっ、という思いの方が強くて、めでたしめでたしとは思えませんでした。
アクロバティックなアクションは最高にかっこいいし、
エキゾチックな古代ペルシアの雰囲気もすごくいいし、
庶民出身のお気楽王子と気の強い高飛車な王女の掛け合いもとても楽しかったのに、
単純で大雑把でノーテンキなストーリーでいいんですが、不用意すぎです。
アメリカの人たちにとって、イラク戦争は無意識のトラウマになっているのかも、
そんなことを考えてしまう映画でした。
★★★☆【Prince of Persia: The Sands of Time】2010アメリカ
冒険パーティのサブキャラもいい味だしてて、楽しかったですが。
時間を戻すたびに状況が悪くなる、って話のほうが面白そう。