■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(48)
- カテゴリ:その他
- 2010/06/15 00:02:40
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十(4)
されども此の流派が果して将來長く此等の氣運を統率するの名たるに堪ふるや否や。此は未解の問題なり。同じ評家は謂へらく、獨乙人等は佛人より標象主義の名を借りて已に十數年、之れに代はるべき新しき題目をば得たしと思へど、未だ之れを發見せざるを如何にせんと。
標象主義は、小説劇等の上にも見はれたり。獨乙のハウプトマンが『沈鐘』は其の好例たるべし。佛のサードゥが英の名優アーヰ゛ングの爲めに我れダンテを材とせる劇『ダンテ』も此の部たり。遡りてはイブセン。ニイチェ等にすら、早く己に其の徴を見るといふならずや。
更に試みに學者といふものが理によりて解する標象主義の意義を聞け。現代の歐洲の美學者中、最も覇を稱するは、蘇格蘭セント、アンドリゥ大學のボザンケ、獨乙ミユンヘン大學のリップス、獨乙ライプチヒ大學のフォルケルト等ならん。
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*註1:されども此の流派が
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:将來
「将」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syou_hatamata.jpg
*註3:氣運
「運」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註4:統率
「率」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sotsu_ritsu.jpg
*註5:評家
「評」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hyou.jpg
*註6:小説
「説」の旧字体。旁は「兌」。
*註7:遡り
「遡」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註8:更に
「更」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sara.jpg
*註9:學者
「者」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mono.jpg
*註10:蘇格蘭
「スコットランド」の漢字表記。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
改行とカタカナの固有名詞が多いので、読みやすいのかもしれませんね。
もしくは、早くも抱月文体に慣れちゃったのかも♪
●deruvis さん:
明治時代の人は、漱石なんかもそうですが、
結構自己流の当て字を平気で使ってます。
当時はいまのように、国語審査会とか、当用漢字とかの決まりがありませんでしたから。
「ドイツ」なんかも、抱月はここでは「獨乙」を使っていますが、
当時の一般的な書き方だと「獨逸(独逸)」のほうです。
「蘇格蘭」は一般的な書き方なので、友だちにクイズで出してもだいじょうぶです。(⌒▽⌒)V
中国表記でも、同じく「蘇格蘭」と書くそうです。
・・・・・・
うん、やっぱり読めないw
スコットランドの漢字表記は今度友人に問題として出してみよう。
じゃまた・来るんで・いつもの・やつ・お・ここに・イン・で
メモしときます・から・・・今日はすこし・でした・ラブラブわ・・みんな・・お疲れですね
じゃまたね