タケシの武勇伝…第二部(15)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/27 08:19:44
---第1部、あらすじ---
野球少年の北野健(タケシ)は、中学3年の冬、利き腕に銃弾を受けて野球ができなくなってしまう。
仕方なく進んだ地元高校で夏休みの補習授業を受けるハメになったタケシは、そこで佐々木真也(シンさん)と出会い、彼の勧めでもう一度野球をするための手術を受けることとなった。
---第2部、前回まで---
2学期初日の昼休み、タケシと仲間たちは野球部に誘われたがその場で返答することはできなかった。その日の放課後、タケシはシローの父親を説得するため彼の家を訪れ、リョウとマサミは誰もいない教室で話し合っていた……
≪もう一つの放課後≫
ついさっきまで聞えていた人間の声に変わって、今は残暑の蝉の声が教室中に響いていた。
ほとんどの生徒が部活動をしてないせいか、終業後はどの教室もすぐに人気がなくなってしまう。
そんな閑散とした教室の隅でマサミとリョウは話しをしていた。ジャージに着替えていたリョウをマサミが見つけて呼び止めたのだ。
「リョウ、お前、何で着替えてるんだ?」
「えっ!ああ、ちょっと教官室行こうと思ってさ」
その言葉に、マサミはすぐにピンときた。
「お前さ、野球やるつもりなのか!」
「うん。そのつもりだけど、何で分かったの?」
「だってさ、昼休みにゴリ山さんの話し聞いた時、お前だけ全然驚いてなかったからさ。そんで今頃ジャージ着てるんもんだからさ…」
リョウは、マサミの顔を見ながらバツが悪そうにアタマを掻いた。
「あんな風に誘われるとは思ってなかったけど……俺さ、学校始まったら野球やろうと思ってたんだ。だから一応ジャージ持ってきたんよ」
ジャージの両肩をつまみながらリョウは苦笑した。
「何でリョウは急に野球やろうなんて思ったんだ?」
マサミの素直な質問に対し、リョウは夏休みに起こった出来事をかいつまんで説明した。タケシが手術を受けてリハビリしていること。シンさんの家でタケシの力になって欲しいと言われたことを。
リョウの説明を聞いているあいだ、マサミは目を据えたままじーっと一点を見つめていた。何かを考えているのはリョウの目にも明らかだった。
壁際で向かい合った二人の頭越しに、熱気を帯びた西日が差し込んで教室内を蒸し風呂のようにしていた。だが、マサミはそんなことなど忘れているかように黙ったままだった。
※※つづく※※
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とてもお急がしいようですけれどお知らせします。もしお時間がございましたらぜひ。
連載を頑張って下さい。
先輩♪~
野球部設立の空気、モチベーションあがってきましたね。
なんとなくマサミもつられて・・・・?
だんだん、野球部の人数がそろってくるかな?
大丈夫なの!?