名曲が私たちに」語りかけてくる-その1-
- カテゴリ:日記
- 2010/05/10 17:20:34
チャイコフスキ- 大序曲「1812年」
この曲は1880年10月チャイコフスキ-によって作曲された演奏会用序曲です。
先月放送の「ノダメカンタ-ビレ 最終章 前編」の最後で演奏されたので、覚えておられる方も沢山おられると思います。
これは、1812年「大陸封鎖令」に従わないロシアをナポレオン軍とその同盟軍60万が侵略してきた史実を音楽で表したものです。
当初フランス軍がモスクワを制圧しますが、ロシアの民衆はそのモスクワを焼き払い、焦土作戦をとる。そして、ロシア全土の軍と民衆の軍隊が反撃に出ます、折からの冬将軍に、遠征したナポレオン軍がその2/3を失い、フランスへ敗退した、いわゆる「ナポレオンのロシア遠征」を音楽で描いた作品です。
弦楽器の低いユニゾンで曲は始まり、やがてロシアの平原を思わせる弦楽器の美しいメロディ、冬間近いロシアの平原を行くような曲想です。
通走低音楽器が一際強い旋律を奏しますと、やがて、彼方からフランスの国家「ラ・マルセイエ-ズ」が木管楽器、次にホルンで奏されフランス軍がロシアに侵攻してきた様子を表します。やがて弦楽器の激しい上下のリズムとロシア国家とマルセイエ-ズが交錯し、戦闘が激しくなる様子が描かれます。そして、この曲想が何度か繰り返され徐々に緊迫の度合いが高まります。
そして、圧倒的なフランス軍をロシア全土から集まった軍と民兵が、冬将軍までも味方に付けフランス軍をうち破る様子が描かれクライマックスに達したとき、
ラ・マルセイエ-ズの後ろから大砲の音が鳴り響き、金管楽器の高らかなファンファ-レと教会の鐘、がロシア軍の勝利を高らかに歌い上げます。
そして、勝利したロシア軍による行進曲と教会の勝利の鐘の音と祝砲が打ちならされて、全楽器による勝利のメロデ-とがロシアの勝利を、このうえもなく高らかに鳴り響かせて輝くように終曲します。
私も、FMでワレリ-・ゲルギエフ指揮、サンクトペテルブルグ交響楽団(元のレニングラ-ドフィルハ-モニ交響楽団)オランダ王立軍楽隊 の演奏で、本物の大砲を使った演奏を聴いて大層感激し興奮しました。
ノダメの最終章、前編の最後で主人公が指揮して演奏するのですが、この演奏もなかなか見事な演奏で、エンディングに当たる行進曲の部分が大変感動的に描かれていました。
果てしなく広がるロシアの大地とそこでくりひろげられた、
仏露の戦争の悲しみと、
祖国を守り通した民衆の喜び、
目を閉じると1812年にタイムスリップしたような感慨を覚えるのは私だけでしょうか。
何度聞いても心揺さぶられる名曲だと思います。