第9地区
- カテゴリ:映画
- 2010/04/28 23:51:11
今年14作目の映画舘鑑賞。
南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ監督のデビュー作で、
同督の自作短編映画を長編化したSF映画。
舞台は南アフリカのヨハネスブルグ。
上空に突然出現し停泊した巨大な宇宙船に乗船していた多数のエイリアンを難民として受け入れた28年後、
彼らを隔離した第9地区はスラム化し、人間のギャングも横行する無法な危険地帯となったため、
エイリアンを別地区へ移動させることに…。
ファースト・コンタクトその後のエイリアンと人類の混乱した関係が見事に描かれています。
B級的なエイリアンの節足動物に似た醜悪な容姿やスプラッタ映像と、
現実が細部にまで反映された生々しい描写と設定を、違和感や距離感を感じさせずに融合させ、
ホラー・サスペンスで、アクション・エンターテインメントであると同時に、
優れた社会風刺と、社会人類学的な奥行きを持った映画になっています。
エイリアン難民と彼らの移動責任者をしていた難民管理局MNU(超国家機関)の男性職員失踪の謎を
宇宙船の出現まで遡って追いかけたドキュメンタリーの映像と、
当事者サイド視点の映像が切り替わりながら進行していく、ちょっとこったツクリです。
これも現実の民間人に知らされない真実があることを皮肉っているかのようで面白いです。
主人公は、どこにでもいるとくにこれといった能力もない身勝手で小心者な小役人。
己に降りかかった受難にパニくっていたかと思えば、自分の保身しか考えない非情な行動に出たり、
自己犠牲精神を発揮したかと思えば、その行動に酔いしれていたり、等身大の人類代表といった感じです。
主人公の受難とエイリアン親子のストーリーが絡んで、結末へと向かうのだけれど、
人間の主人公には同情心のカケラも持てないのに、見たくもない外見のエイリアンの親子の無事を願って、
ハラハラドキドキして、最後にはエイリアン親子が、かっこよく、かわいらしく見えていました。
気の毒な主人公には思わず涙を誘そうリリカルなラストが用意され、美しくまとめられて終わります。
字幕では「エビ」と呼ばれているエイリアンですが、映像内の看板等によると『prawn』
「エビ」に違和感を感じたので、家に帰ってすぐに調べると、
“prawn:クルマエビ・タイショウエビなど中形のえびの総称。”
でも、どうしても「エビ」に納得できないのでしつこく調べてしまいました。
「パークタウン・プローン(Parktown prawn)」
南アフリカ共和国ヨハネスブルグに棲息している全長5㎝に達する巨大な都市害虫。
雑食性で不潔で悪臭を放ち生命力が強くて駆除できないゴキブリのようなヤツ。
エイリアンたちは嫌悪感まるだしの酷い蔑称で呼ばれているのですね。
でも、下階層のエイリアンたちはまさにパークタウン・プローンのようだから、蔑称とは言えない…?
コオロギとチャバネゴキブのミックスみたいで、つぶらな黒い瞳がかわいい(嘘?!)です。
画像をクリックすると拡大します。 → http://en.wikipedia.org/wiki/Parktown_prawn
★★★★☆【DISTRICT 9】2009アメリカ
ニール・ブロムカンプ監督の自作短編映画
『アライブ・イン・ヨハネスブルグ(Alive In Joburg)』
→ http://youtu.be/iNReejO7Zu8
自分で気付かない間に、エイリアン親子を応援していました^^
>corraさま 残念~><
楽しかった。面白かった。
ぐいぐいと引き込まれていました。
エイリアンのせいですね?! (笑)
エイリアンが可愛く見えてきたりするんです。チャバネとコオロギのミックスの方が怖い・・・・
B級容姿のエイリアンの割に、間口の広い映画だと思うので、機会があったらぜひご鑑賞ください~。
周囲の評判がいいのにタイミングが悪くてまで観てません。
よく観て調べてますね。すごい!!
読んでて、更に観たくなりました。
平仮名に変換したらアタマに残るか知らん、と思ったですが
大した効果は無かった模様。ザンネン~
それでエビなのかと思ったけど、どうみてもエビじゃないので、気になってしまいました(笑)
>まかろんサマ エイリアン化していく男のストーリーだけを中心にもってきたら、
それはそれで、B級映画の傑作になったかも?と思ったりします。
>tkgサマ 今回と同じように監督の思い通りさせてもらえるなら、続編を観てみたいです。でも、
大作予算に血迷ったり、横からの口出しがあったりすると、悲しい結果が待っていそうで心配です。
>corrサマ ぱーくたうんぷろーん、って平仮名だと、なんだかかわいらしい感じ~。
>伊勢うどんサマ 今時な設定というか、それがリアリティを感じさせてますよね。
MNU(MULTI-NATIONAL UNITED) オリジナル(読めませんが)と日本サイトの落差が面白いです。
オリジナル → http://www.multinationalunited.com
日本サイト → http://d-9.gaga.ne.jp/mnu/index.html
“COME WORK WITH US!”オリジナルには、ノン・ヒューマンの仕事の募集もあります。
それにしても エイリアンを監視?しているのが 民間軍事組織や傭兵というのが時代を感じる作品でした。
薀蓄ひとつゲットです。ありがとうございます。
さっそくサグってみます。
確かに「エビ」には違和感ありましたね
「prawn」にそんな意味があったとは
調べ上げたながつきさんに感服します^^
続編『第10地区』の構想があるそうですがどうなんでしょうね。
プロモーションだけみると単純にエイリアン化していく人間のお話にみえるけど
なんだか奥が深そうで興味津々です^^
この映画見ようかどうしようか模索中ですが、ながつきさんのブログ見て満足。。。かな?^^