ファイブスターズ(仮)4-1
- カテゴリ:自作小説
- 2010/04/25 15:33:30
この物語は、剣の世界の
そして、知られざる地での、冒険者達の戦いの記録である。
「新興宗教ォ?」
ファリシアと共に、ファリス神殿を訪れたチャーリー達を、
出迎えてくれたのは、フレイアではなく別のファリス神官戦士の一人だった。
六人中人間は二人だけという、嫌でも他人の目を引く彼らを特に気にする様子はなく、
応接間でフレイアがファリシアに与えた“使命”の内容を聞かされた時、
チャーリーは思わず挙げてしまった声である。
「そうだ。ただその信者の増え方があまりにも急速すぎて気味が悪いほどだ」
「そこでその教団の実態を調査するのが、私の“使命”です」
ファリシアはそう言って、使命の詳細を話し始める。
「このファリス神殿から東に歩いたところに、
『クリルの教え』が現れたのは数ヶ月前の事。
…私も噂で聞いた程度での話ですが、
自らを“神の使徒”と名乗るクリルに財産を捧げる事で、
この世での幸せと、死後の安らぎを得られる…とか」
「もちろん何事もなければそれで良い…のだが、
マザー・フレイアがその教団に警戒するようにとの神託を受けたのだ」
「で、それの調査の手伝いをアタシ達にしろって事ね」
リルルの言葉にその神官戦士は、少々眉をひそめつつも頷いた。
「調査して、何事もなくても報酬は払う。…一人頭三百ギメルだ」
神官戦士はそう言って話を切り、席を外した。
「…少々安い気もするけどまァないよりはマシだな」
「引き受けてくれますね?」
「ここまできて今更ノーとは言わねェよ」
不安げなファリシアに対して、チャーリーはぶっきらぼうにそう答えた。
そしてファリシア達は件の神殿へと移動した。
「…神殿と呼ぶのもおこがましい代物じゃの」
バルガスが呟くのも無理はない。
『クリルの教え』神殿と呼ばれるその建物は、
神殿と言うよりも一般の家屋を改造したような感じである。
「まー、新興宗教だから当然といえば当然だけどな」
その神殿の門で熱心に呼びかける信者の姿をよそ目に、
チャーリーがそれに続いた。
「とにかく中に行きましょう」
とファリシアが進もうとした時、袖をグイと捉まれた。
「待ってお姉ちゃん。全員で行くのはどうかと思うよ」
彼女を止めたのはリルルであった。
「?」
「少しだけアタシに時間を頂戴。ここを一回りしてくるから」
そう言うや否や、リルルは神殿と別の建物との間にへと去っていった。
「一人で勝手に…」
「そう言うな。恐らく彼女なりに何か考えがあるのだろう」
溜息交じりに肩を落とすファリシアに、マートは優しく肩を叩いた。
程なくしてリルルがファリシア達の元へ戻ってきた。
「やっぱりあの建物、胡散臭いよ。
普通、神殿に裏口なんかないと思うわ」
「では、どうすると?」
「中に入る人たちと、ここに残る人、そして、裏口を見張る人とに別れようよ」
「…ま、反対する理由はないな」
リルルの提案にチャーリーが答え、一向は頷いた。
「それじゃ決まりね。中に入るのはやっぱりお姉ちゃんと…」
「オレもだ。どンな教えか気になるしな」
チャーリーが名乗りを上げる。
「では私はここに残ろう」
「ワシもじゃ」
「同じく」
マートに続いて、バルガス、エルシアはそう答えた。
「じゃあアタシは裏口見張っていくねー。
何かあったらそっちに戻るから」
そう言って再び路地裏へと消えていくリルルに再び溜息をつきつつも、
「では行きましょうか」
ファリシアはチャーリーに呼びかけた。
「ああ」
チャーリーは頷いた。
そして二人は神殿に歩を進めた。
「チッ、二百ギメルも取りやがって。
そこまで取るならさぞやありがたい教えなんだろうなァ」
「…曲がりなりにもここは“神殿”です。少しは口を慎みなさい」
不満な表情を隠そうともしないチャーリーを宥めつつ、
ファリシアは辺りを見回した。
何処から持ち込んできたのか、新品の長椅子が部屋の殆どを占め、
その長椅子に信者達-見たところ、中流階級の人たちだろう-が、
入り口の真反対側にある壇上に現れるであろう、クリルの登場を待ち構えている。
その数は、どう少なく見ても百人は近いだろう。
それほど広くはないこの建物の中では、確かに異様な人数だろう。
やがて壇上に一人の男性が姿を現す。
何処からか拍手が鳴り、次第にそれが大きくなっていく。
「…コイツら、どうかしてるぜ。あンな冴えないオッサン相手に…」
拍手の中でチャーリーは小声で毒づいた。
(…確かに)
今回はファリシアも、心の中で同意した。
二人が座っているのは、広間の中央辺り。
そこからでも、男性の服装はひときわ目立っている。
白地に金糸で円を刺繍し、五つの宝石をちりばめたそれは、
高司祭というよりも、成金が好みそうな悪趣味な服装だった。
壇上の男性-クリルは、周囲の拍手が鳴り止むのを待ってから、
わざと咳払いを一つした後で己の教えを語りだした。
他の国に出向けませんものね。
クリルの地位や、信徒の地位を示す単語なんかが出てくると、
新興宗教の胡散臭さが増していい感じかもしれませんね。
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いわゆるシティーアドベンチャーですねw
怪しげな親父の正体は?
マスターの腕の見せ所です。おもわずダイスを振りそうw