連載 仮想空間のカオス20
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/30 11:03:26
「羽太郎、伝えたいことって何?」
翔がきいた。
「んとね…、僕は、翔ちゃんにありがとうを言いに来たの」
「え?」
「翔ちゃんは、チューブで餌つっこみながら、いつも僕にごめんね、ごめんねって言っていた。どうしてあやまるの?苦しかったけど、おなかに減らなくて、食べることができなくても、僕は生きることができた。ありがとうって言いたかったんだ」
「羽太郎…」
「翔ちゃん、ありがとう。僕は翔ちゃんと共有した時間と空間で幸せだったです。だから別れを悲しまないで欲しいんだ」
「別れがつらいから、飼うのは、きなこで終わりって思わないで」
「羽太郎…」
再び涙がボトボト落ちる。いつの間にか、オカメのきなこが羽太郎の指定席だった翔の肩にのって、静かに翔に寄り添った。
「一生懸命、面倒をみてくれた翔ちゃんが、僕が死んだあと、後悔してるのが、悲しかった。そんなふうに悲しみに浸らないで。僕は幸せだったんだから。翔ちゃんの笑った顔が好きだから」
翔は泣き続けてていた。でも。涙が悲しみのしずくから変化しているのを感じていた。
羽太郎は言葉を続ける、一生懸命に。
「生きてるときは伝えられなかったこと。翔ちゃんの肩にのっていたときは、伝えられなかったことを、仮想空間の中で、もう触れ合うことができない状態で、ようやく伝えることができた」
fが画面の正面を向いた。アバターのきなこ@でなく、画面ごしの翔を見つめた。
「翔ちゃん、楽しい時間をありがとうございました」
「羽太郎・・・」
「僕と同じように翔ちゃんと楽しい時間を過ごすことのできるいんこが、また現れるといいな」
「うん、わかったよ、羽太郎」
心の大きな冷たいかたまりがやわらかくなっていくのを翔は感じていた。
f-羽太郎はふうーっと大きくため息をついてつぶやいた。
「カオスの状態が、変化をはじめてるみたい」
「それって…?」
翔は不安げに問いかけると、羽太郎はうなづいた。
「接続がきれそう…だ」
「ま、また会えるっ?」
翔が画面に叫ぶ。
「また…い…つ…会え…いい…」
すっとfが、羽太郎が消えた。
「羽太郎!」
でも、画面には主のいない部屋が写ってるだけだった。
数ヵ月後。
翔は、学校から帰宅すると、いつものようにパソコンを立ち上げた。その音を合図に、オカメのきなこと、下手な飛び方の新入りセキセイのチビが、翔の肩の争奪戦を始める。
「あー、うるさいねぇ、あんたたちは!」
ぶつぶつ言いながら、それでも肩でけんかするままにさせて、翔は仮想タウンにログインするときなこ@のスペースにfの足跡がないか確認する。今日もfの足跡はない。かわりに繭音@やタウンでできた友達の足跡がごちゃごちゃとついていた。
いつか、カオスがうごめいたとき、再びfが現れるのを信じて翔は待つのだ。
ー仮想空間のカオス 終わりー
またいつか逢えるといいなぁ~って思っちゃいました
読み終わってホッとしたような寂しいような…でも今の一番大きな気持ちは「嬉しかった」です。
出会った以上必ず訪れる別れは本当に悲しいし辛いものですけれど、
だからといって出会わなければよかった縁などないんですものね(^^)!
今の私とリンクする部分が多く、ぼうぼうさんとキャラクター達からたくさんの勇気を貰いましたm(_ _)m
ステキな時間を本当にありがとうございました♪
いいお話でした。←ありきたりの言葉でごめんなさい
いなくなった友だちにまた偶然にでも会えたらいいなと思わせてくれました。
いい意味で裏切られました^^あったかくなるお話ありがとうございました♪
書いたりして、すみませんでした(^^;。
最初から、いんこの話だったんですけど、ばれちゃうのも
つまらないよなぁと思いまして。
最初のわかりづらいと指摘されたところ、いつか
修正したいと思います。
今は、頭の中がすっからかんです
ほっこりする不思議なお話をありがとうございました〜♪
お疲れ様〜〜また楽しみにしてますよ♡