Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


連載 仮想空間のカオス17

翔は羽太郎の死に冷静だった。
「羽太郎、ありがとう」
旅立った羽太郎をなでながら、静かに別れを告げた。あっけない別れ方であった。

翔は淡々と受験に臨み、そして合格した。高校生活の準備、入学、新しい高校生活ー翔は感情がまるでないかのように、日々をすごしていた。
無表情な翔を新しいクラスメイトは、クールで近寄りがたく感じて、クラスでなんとなく孤立した状態になっていた。でも、翔はどうでもよかった、むしろそれでいいとさえ思った。
両親の心配を感じながら、翔は
「大丈夫だから」
とだけ答えた。

でも、ほんとは。ほんとは、全然大丈夫なんかじゃなかった。足元から崩れ落ちそうな自分をなんとか、持ちこたえるには感情を石にするしか、翔にはできなかったのだ。誰かに優しくされたら、いきなり泣き崩れてしまいそうだった。だからクラスメイトと距離をおくしかなかったのだ。
美優と会うのも避けた。高校生活に忙殺されて、日々が過ぎていくのが、ありがたかった。とにかく感情のある物から逃げたかった。

しかし、どこまでいっても、自分から逃げることはできない。日々が落ち着くにつれ、翔は寂しさに押しつぶされそうになっていた。そんなとき、美優からメールがきたのだ。
「見知らぬアバターがきなこ@のサイトをうろついている」と。
羽太郎との思い出のつまった仮想タウンーログインするために起動させると鳴るパソコンのウィーンという音が、翔の心の砦を崩したのだ。パソコンを強制終了させると、羽太郎が逝ってから初めて、翔は涙を流したのだ。オカメのきなこを頬ずりしながら。
ほんのちょっとだけ、翔の頑なな心が崩れた。しかし、翔は再び堅い殻で心を武装してしまう。仮想空間でfが待っているのを知らずに。

翔の頑な心の鎧をひきはがして、f-羽太郎が待ち続けたタウンにログインするのに 美優の混乱と怒りにまみれた感情のかたまりをたたきつけた電話が、どうしても必要だったのだ。

f-羽太郎と再開した翔は、興奮していた。こらえていた感情が一気に流れ出た。美優にメールを打つ
『fはストーカーなんかじゃなかったの!美優、信じられないかもしれないけど、fは羽太郎だったんだよ!』
喜びにあふれたメールだった。今まで抑えていたものが解放されたメールだった。しかし、美優は、メールの内容に驚き、そして困惑した。fが羽太郎?羽太郎は、この世にいないのに?
確かにfはきなこ@の正体を知っていた。ならば。fが羽太郎だとしても、だ。なぜ羽太郎は翔と接触しようとするのだろう?美優は、メールを見つめながら考え込んだ。

アバター
2010/03/29 22:03
翔の辛い気持ちを我慢して必死になにかに打ち込もうとしてる
なんかじ~んってきちゃいました
羽太郎との思い出の詰まったタウンログインした時に今までの思いがあふれちゃったんだね
(´;ω;`)
fが羽太郎と分かった時翔の凄く嬉しいって気持ちがすごく分かる
アバター
2010/03/24 23:32
おうむたん談
いや、そろそろ広げた風呂敷たたむ時期ビヨ
アバター
2010/03/24 23:02
おや、また展開していくんですね、今度は付いていってるよんピヨ。



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