連載 仮想空間のカオス15
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/21 19:53:26
時期的にぎりぎりの進路変更。合格ラインぎりぎりの志望校。学校の授業も塾の授業も緊迫度が増していった。自宅での学習は更に苛酷だった。日に日に睡眠時間を削り熾烈なものになっていった。
学習の合間に羽太郎の給餌と排泄補助。
ようやく寝ても、朝、学校に出かける前に羽太郎の世話をする時間が必要だったから、眠くても疲れていても、以前より早く起きなければならなかった。
翔の疲労はみるみる蓄積していった。しかし、翔は黙って全てをこなした。羽太郎に給餌をしながら、介護をしながら、生きることに必死の羽太郎を見ていれば、翔は苛酷な受験勉強もはを食いしばって耐えることが出来た。
かまってもらえないオカメのきなこが「キュウ~」と寂しげに鳴きつつも、それ以上の要求はしなかった。まるで、翔の立場をわかっているかのようだった。
きなこ@のサイトに
「受験勉強中につきお休み中」
と書き込んで以来、パソコンを開く時間はなくなった。サイトを閉じなかったのは、受験が終わったら、羽太郎を肩にのせ、キーボードのまわりできなこに邪魔されながら、仮想タウンで、美優のアバターの繭音@とまた遊ぶ日を来るの信じたかったから。
再び、以前の楽しかった日々を取り戻すことを信じたかったから。
しかし、羽太郎の体調は波うちながら、静かにフェードダウンしていった。
低い場所にとりつけてあった止まり木から落ちるようになって止まり木ははずされた。ペットシーツが敷かれた鳥かごの中で静かに眠っていることが多くなった。ろうそくの火が徐々に小さくなるように・・・。
そして羽太郎のからだが、流動食さえ受け付けない日々が増えてきた。不本意ながらも流動食を受け入れていた羽太郎が、流動食を拒否する。どこから搾り出してくるのだろう、渾身の力でからだをばたつかせ、チューブを拒否することが多くなった。
「なんでこんなひどいことするの?」
羽太郎の目が翔に無言で叫んでいた。
「お願いだから!暴れないで!!衰弱しちゃうから、羽太郎、お願いだからっ。流動食はやめることはできないのっ」
理解できない羽太郎に翔は泣きながら叫んだ。
羽太郎も翔も限界だった。受験は一週間前に迫っていた。
ほんと辛いね 弱まっていくの目にみえるほどよく分かるし
私は猫の死をなんどか見てきたから思い出しちゃった
(TmT)ウゥゥ・・・
ほんと良い話です 展開がどうなるのか楽しみです
辛いですね。ペットを飼う以上、必ず訪れる試練ですものね…。
彼らがどうなっていくのか、見守りたいと思います!
いない問題だと思うんですよね。
なんかどきどきの展開・・・
私がニコタに来てない間にこんなにも。
また春休みはいってから一話から読みたいと思います~!!