Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


連載 仮想空間のカオス14

誘(いざな)われるがまま、きなこ@のアバターをfの部屋に移動させた翔は、fの部屋の真ん中に置かれた鳥かごを見て確信した。信じられないけれど、fはうたろうだ。
鳥かごは翔とうたろうしかしらない秘密のアイテムだったから。きなこ@の部屋では棚の後ろに隠されていたアイテムだから。
あえて配置して隠しちゃうー現実には、部屋の中でしか飛び回ることのできない飼われ鳥の運命を仮想空間では、自由にするために。
その鳥かごを見えるところにfは配置したのだ。翔へのメッセージとしか思えなかった。
fはうたろうだ、翔は確信した。
会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、会いたい
うたろう、会いたいよ…翔は涙がこぼれるまま、fへの伝言を埋めていく。
気がつくと、部屋に男性アバターがすっと現れた。
fだ。
「うたろう…?」
fはコクンとうなづいた。
「ほんとに…?」
翔は信じたかった。だから、すぐには受け入れられなかった。
きなこ@のアバターにfは言った。
「しょうちゃん・・・あいたかった・・・」
もう間違いなかった。信じられない状況だろうと、fはうたろうなのだ。
翔は画面のfを思わずなでた。触れることができないもどかしさ。画面の向こうのfを、うたろうを抱き締めたかった。
「しょうちゃんにあいにきた」
fは言った。
翔もうなづく
「私だって!あいたくて、あいたくて、あいたくてしかたがなかった。ここで、会えるんだね?いっぱい話せるんだね?」
言葉がいくらでもあふれてくる。
「きなこ@の部屋にも行こうよ?鳥かご引っ張り出して、うたろうのまねっこするかな」
「うたろう@もいるんだ。うたろうが、うたろう@に会うってすごい状況だよね」
「それにしても、よくこんな部屋つくれたねぇ」
「でも、色がちょっとはでだよ」
だまってきいていたfが言った
「はで?ぼくの目にはこう見える」
翔は思い出した。そうだ、鳥の目は人間には見えない色彩が見えるのだと…。fがうたろうの目で、きなこ@の部屋を再現すると、人間にこんなにカラフルに見えるのか。新鮮な驚きであった。
「うたろうの世界が見えてうれしい」
翔は言った。どんどん力がわいてくるような気がした。しかしfの一言が翔の心につきささった。
「ちょっと、疲れた」
あっという間に落ちていくような感じを翔は味わう。
「ああ、ごめんね、そうだね。疲れるにきまってるよ」
翔はあわてた。蘇る日々が翔にまとわりついてくる。
「あしたもくる」
「わかったよ。明日、また会おうね」
そして、やさしく、退院後のうたろうに何回もかけた言葉を再びfに言った。
「ゆっくり休むんだよ」
表情が動かないアバターなのに、fがかすかほほ笑んで、うなづいた。そして、すっと消えた。
うたろう・・・翔はパソコンの画面に向かって言った。
「うたろう、また会えてうれしいよ」

アバター
2010/03/23 10:51
羽太郎がf (´;ω;`)会いに来たんだね
アバター
2010/03/20 22:52
おぅぅ;; 逢えた!!
感動して涙ぐんでいます><。
アバター
2010/03/20 22:06
こんばんは☆彡

あぁ…今、大きな「!」が浮かびました(^^)!!
仮想空間で起こる不思議なお話にすっかり夢中です♪
アバター
2010/03/19 21:54
物語の中心に辿り着けて嬉しいです!



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