【あらすじ】帝都物産のビルから早乙女という男性社員が転落死する。遺書が見つかり自殺と思われたが、早乙女が転落したと思われる時刻の直前、首都警備保障という警備会社の岩井という男が、彼と会っていたことが判明。伊丹らは捜査に向かうが、首都警備保障は警察官僚の天下り先で、圧力をかけられ思うように捜査できない。その上、首都警備保障は警察が関与する大掛かりな警備システムを作っていて、警備局にいた神戸も岩井と顔見知りだった。そして神戸に、警備局時代の部下である香から、岩井の自宅に来るよう電話がかかってきた。そこには毒を飲んで死んだ岩井の死体が転がっており、その第一発見者が香だった。

【感想】今回は実に相棒らしい、社会派の群像劇でした。シーズン８はこれというエピがなかったけれど、最後になって結構でかいのを仕込んできましたね～。しかも神戸の命運を握る重要なターニングポイントでもありました。警察が舞台となるドラマでは、いつも社会に影響する大きな問題をとるか、身近な事件をとるか、ジレンマに陥る人々がよく描かれていますが、今回もまさにこれでした。そして右京さんはいつも、身近な事件をとります。まぁ、大抵どの警察ドラマでも主役はそうですな。自分の身分や社会全体の利益がどうなろうが構わず、１人の人間の命を犠牲にして得られる幸福などない、というのが彼らの主張なのでしょう。これが、身近な事件でなく、大きな問題を取った主人公もいました。昨年末に放映された「外事警察」です。そして主人公自身が大きなジレンマを抱えていました。実際のところ、どちらが正しいのか、私には判断はできません。目の前の人質をあきらめなければ、何十、何百万という人の命にかかわるなんて言われたら、どうですか。…さて、結局警察庁に戻ることを拒んだ神戸は、一体どうなるんでしょうね。今まで庁内Ｓとして降格待遇になっていたのが、本当に降格されて右京と同じ島流し扱いになってしまうかもしれませんね…。でも多分、相棒ファンの皆様は、それを望んでいるんでしょうね。

【今週のまとめ】ポンサックが藤尾というホームレスの男を殺した容疑で逮捕されてしまう。ポンサックが藤尾を寝ていると勘違いして抱き起こそうとしたところを、他の通行人に見られただけの、誤認逮捕だった。アキラはインディゴの仲間たちと真犯人を探すことに。そしてタクミという画学生から、彼が盗んだ藤尾のバッグを入手する。中には渋谷の寂れた商店街をショッピングモールにする計画の記事が入っていた。その計画は、商店街の中央にある森井ドラッグという店が、最後まで反対して実行にいたらなかったらしい。アキラはアレックスとともに森井ドラッグの様子を見に行くと、そこには以前１度インディゴに来たことのある明日香が母親と２人で住んでいた。そして、実は計画はまだ中止になっておらず、ヤクザのような不動産会社の社員に、立ち退くように脅されていることもわかる。その社員たちに聞き込んだところ、藤尾が以前森井ドラッグを脅すネタがあると、売り込もうとしていたことがわかる。そして１０年前、商店街で泥棒の騒動があった時、森井ドラッグだけ被害にあわなかったことも。森井ドラッグにはどんな秘密があるのか、藤尾を殺したのは誰なのか、ポンサックは釈放されるのか…。そしてアキラたちは悲しい真相に行き着く。

【感想】白いポンサックを初めて長々と見れました。それでもちょっと東南系だった…(；´Д｀)　犯人に意外性がなくてちょっとがっかりでしたね。なんかこのドラマはそういうの多いな。いい意味での裏切りってのが少ないってか。泥棒を撃退しようとして突き飛ばして殺してしまったのは、前にもテツの時に書きましたが、厳密には殺人とは言えないと思うのですよ。状況的に明らかに殺意がないし、過剰防衛くらいですむと思うんですがねぇ。かえって自分ちの庭に死体を埋めてしまったことで、罪の意識から父親はストレス死、母親は殺人犯にまでなってしまったわけで、あの時正直に警察に通報していれば、ここまでこじれることはなかったと思うのです。しかし家族とかならともかく、見知らぬ悪人の死体を庭に埋めるって、どういう感覚だよｗ　通報しなかったのは百歩譲って仕方ないとしても、どこか山に埋めるとか海に沈めるとかした方がよかったと思うんですが。もうちょっと、森井ドラッグの秘密の動機を煮詰めた方がよかったですね。