Nicotto Town


およよ・れおポン


レトリック

僕は、アメリカ映画界のアカデミー賞にはあんまり興味がわかないが、今回の監督賞受賞キャスリン・ビグローの主要作品のひとつが「K-19」ということで、少し興味がわいた。

K-19は良くできた映画だと思う。
脚本に、精神的な面で清潔感があって、映像も、その表現にそってきれいに整っていた。

戦争映画だが、戦争よりも、主人公が「最善」を求める姿に視点があった。

一方の、今回の作品「ハート・ロッカー」は、宣伝で見られる範囲では、荒削りの映像で、登場人物の言葉も汚く、「K-19」とはまるで裏返しの表現のようだ。

例えば、油絵に筆痕を残したり、ナイフで絵の具を盛り上げるように荒いタッチ。彫刻にノミの痕を残すようなざらつき。

違う監督のように見える。それで興味がわいた。


テレビで少し流れたぶんの印象だが、かなり荒い絵だ。

イマジナリーラインが無くて、カメラの位置が飛ぶ、登場人物の近くに行ったり、遠くから覗き見たり、頻繁に視点が変わる。

細部が見えないままであったり、突然、細部を見せたりする。

観客に、報道映像のように「偶然撮影された」素材を繋げたように見せたいらしい。

見ているのが疲れるような、「しろうと」が撮ったようなカメラワークまである。

そうまでして、「これが現実です」と言いたいのである。

もちろん、映画はフィクションだ。
現実社会の問題や、実際の事件に基づいていても、あくまでも作り物であって、本物の現場を撮影した報道ではない。

寓話として、真実を浮かび上がらせたいのだ。

さて、この映画、全編、ちゃんと視たら、映画として良くできているのだろうか。

レトリックの積み重ねは、一歩間違えると、ただの嘘つきだと思うのだが、どうだろう。

#日記広場:映画





Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.