連載 仮想空間のカオス8
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/10 20:00:39
「f」は今日もきなこ@のサイトで、じっと待っていた。もしかしたら、きなこ@はもうここに来ないのだろうか。あんなに楽しそうだったのに?
fが立ちつくしているところに、別のアバターがあらわれた。繭音@だった。
メールで返信が来てすでに数日がたっていた。何のアクションも起こさない翔に美優はちょっといらだっていた。
それでも気になってきなこ@のサイトを開いたそこに、fが立ちつくすのが、目に飛び込んできた。鉢合わせの可能性は予想していたはずなのに、美優は思わず画面にむかって「ひっ!」と叫び声をあげた。
とはいえ、画面の繭音@はfの横に突っ立っているだけだ。
どうすればいいんだろう?話しかければいいのか?でも何を?落ち着くんだ、美優。自分にそう言い聞かせて、彼女はキーボードをたたき始めた
―美優:こんにちは
―美優:こんにちは、ちょっと尋ねたいことがあるんですが
fはまったく反応しない。無視?怖さよりも怒りが大きく膨らんで、キーボードを叩く力が強くなった。
―美優:あなた、きなこ@とどういう関係?
―f:き…な…こ
もったりとした反応は繭音@に対するものでなかった。fの目には繭音@などまったく入っていないのだ。きなこ@しか見えていないー美優は再び恐怖を感じた。この人、絶対変だ。キーボードを打とうとするが、指が震えて言葉を打ち込めない。
―f:い…な…い
それだけ言い残してfはすっと消えた。画面の前で美優は震えていた。
fは自分のサイトに戻ると仕上げにとりかかる。そのアイテムを部屋の真ん中に置いた。これで気付いてくれる。ここにくれば、僕をわかってくれる、僕は待っているんだよ、きなこ@…翔ちゃん…
誰なんだろういったい
「!」に変わるどころか、ますます謎は深まるばかり…
展開が気になります(^^)!
まだまだ謎がいっぱいですね