連載 仮想空間のカオス6
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/08 14:43:42
「登録だけでいいから、お願いっ」
塾の帰り美優は翔に手を合わせた。
「この頃、何回もメールで招待きてるあれでしょ?うーーん」
「友達を招待するともらえるアイテムがあるんだー。どうしても欲しいんだ」
「何がもらえるの?」
「魔法の杖とマント…」
美優は魔法アニメのファンだったっけ。だから急に招待メールなんか送ってきたわけか。
「会員登録自体は無料だから、お願いしますっ」
また片目つぶって、もう片方で翔をみながら大げさに翔に手をあわせる美優に翔は、苦笑いするしかなかった。
「わかったよ。登録するよ」
「ほんとっ!やった、マントゲットだぁ!」
「マントは私ももらえるの?」
「うっ。実はマントと杖は私だけ…えへっ」
「えーっ!」
「あ、でもそのかわり、お礼にプレゼントアイテム送るから、ねっ?」
帰宅して、塾の宿題を一段落させると、パソコンを立ち上げた。
ウィーン…パソコンのうなり声に呼応して、セキセイのうたろうが飛んでくると翔の肩にとまった。いつものことだ。勉強の時は邪魔しないけど。パソコンをいじる時は、翔の肩で遊ぶのがうたろうと翔の暗黙のルールになっていた。いっしょに飛んできたオカメのきなこは、パソコンのまわりをうろちょろする。翔の肩だけはうたろうの縄張りで、いつもは仲良くしていても、翔の肩だけはきなこを威嚇して、近づくのを許さなかった。翔の肩は、先住うたろうの特権占有席なのだ。
二羽がパソコンと翔のまわりでうろちょろ始める頃ちょうどパソコンが立ち上がる。
「どれ、美優が待ってるから、登録するか」
カチャカチャカチャ エンター
カチャカチャ エンター
必要な入力をどんどんこなしていく、その指がとまった。
「ニックネーム?うーん…」
きなこがパソコンの線にいたずらを始めたのを阻止しながら、翔はくすっと笑った。
「あんたの名前借りるわ。うたろうはオスだからね」
「びょ?」
きなこが新しい配線をくわえて翔を見上げた。
翔はニックネーム欄を埋めた。
―きなこ@。
入力事項完了ボタンを押す。
画面上に
「ようこそ。きなこ@さん。タウン住民登録は完了しました。タウンの生活をお楽しみください」
その画面が消えるとアバターのきなこ@は新しいページに立っていた。なにもない部屋らしい。ガランとした空間は、ほんとに、ここへ今入居した感覚になる。
「面白そうかも」
あしたから、探検しよう。
ログアウト。
((((o゚▽゚)o))) ドキドキ♪
私がニコ始めた頃思い出しちゃいました
ここから始まったのですね…ワクワクします(^^)
たくさんの「?」が「!」に変わっていくのがとっても楽しみです♪
ファンタジーっぽい^^