インビクタス‐負けざる者たち‐
- カテゴリ:映画
- 2010/02/11 21:40:19
今年3作めの映画舘鑑賞。
国家反逆罪で終身刑を言い渡され27年間にも及ぶ投獄生活を送り
南アフリカ共和国初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ大統領政権のもと、
1995年に同国で開催されたラグビー・ワールドカップを題材にした映画です。
アパルトヘイト体制が終結したばかりの南アフリカ共和国がラクビー・ワールドカップ優勝、
まるで奇跡のようだと思いながらニュースを聞いたのは15年前。こんなドラマがあったなんて…。
監督にクリント・イーストウッド、製作総指揮にネルソン・マンデラを演じたモーガン・フリーマン。
その奇跡ドラマが相応しいコンビによって、理想的に映画化されたと思いました。
イースト・ウッド監督の他の作品がそうであるように、中立であろうとする静かな視点で淡々と描かれます。
映画のあちらこちらにちりばめられた黒人と白人の軋轢を越たささやかな邂逅は優しく暖かです。
この映画は良い側面だけを映したものだけれど、それでいいのだと思います。
光を当てられた感動の奇跡と共に深い影が静か映し出されています。
映画の中では、何度も、ネルソン・マンデラが27年間の獄中生活の支えにしたという
19世紀英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩”インビクタス”が象徴的に使われています。
ラテン語で征服されざるものという意味なのだそうです。
幼いころに結核菌に冒され、片足を失いながらも詩作や評論を続けた詩人の不屈の精神が現された詩です。
It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.
モーガン・フリーマンの深みのある声でこの詩が読みあげられるだけでも泣いてしまうのですが、
琴線に触れるシーンが多くて、途中何度も涙があふれてしまいました。
けれど、重たくのしかかるような映画ではありません。
南アフリカ共和国の優勝は決まっていることなのに、
いつの間にか映画の中の人々といっしょにただチームの勝利だけを願っていました。
人は確かに良い方へ変ることができるのだと信じさせる力をもつ映画だと思います。
「グラン・トリノ」に続くひとつの答えのようにも感じられました。
”インビクタス”は、子供を含め多くの痛ましい犠牲者を出したアメリカの連邦政府ビル爆破犯が、
獄中で最後に書き残した詩としても有名です。911以前、アメリカ最悪のテロ被害でした。
けっきょく最後まで「爆破は容認できる行為だった」と己の孤高に酔いしれていたのでしょうか。
映画とは関係ないことですが、同じ詩を心に刻みながらネルソン・マンデラとのあまりの違いに驚きます。
”負けざる者たち”という、余計な邦題が興ざめです。
「許されざる者」にも引っ掛けたいのだろうけど、宣伝コピーとして使えばそれでいいのに、
どうしてタイトルに含めてしまうんでしょう。
★★★★☆【Invictus】アメリカ2009
黒く塗りつぶされ部分としてではなく、薄暗い影の中も見えている映画でした。
現実の南アフリカの現在の状況が楽観できるものじゃないことを考えると、なんというか胸が重くなります。
制度じたいは撤廃されても、残された物は大きいですね。
こちらは逆に本人より小柄らしいんですが、本当にラガーマンのようでした。
>Cabbageさま 日本代表チームの点数には笑うしかないですね。
私も知らなかったのですが、この映画を観る世界中の人に知られてしまう・・・。あーあ(笑)
この映画のネルソン・マンデラは良かったようですね^^観るの楽しみになりました
「ドライビング・ミス・デージー(89)」や「グローリー(89)」「許されざる者(92)」
「ショーシャンクの空に(94)」「コレクター(95)」あたりのモーガンが特に好きなんですが^^
できれば悪役でないのやって貰いたい、無理な事思ってるんですww
セリフをしゃべっていないときにも、ネルソン・マンデラの人物像がにじみ出ているようでした。
>あすかサマ アメリカや英語圏でも、ラテン語やこの詩を知っている人は少ないだろうと思うのに、
妙な副題つけないといけない日本人って....とちょっと悲しくなります。
>ナップさま 実際のネルソン・マンデラは小柄な普通のおじいちゃんといった風貌なので、
モーガン・フリーマンも体格的にもイメージがかなり違うはずなのですが、
それをまったく感じさせませんでした。
>ryou1さま 映画を観る前にこんな映画って決め付けてしまうタイトルは好きではないのですが、
それも、間違っていたり方向がズレていたりするから、さらに残念です。
>青ちゃサマ よい映画です~♪
スポーツものとしても、汗臭さはないけど、熱くなります。
なるほど!
許されざる者に引っ掛けたかったんですね。
ほんとうに邦題が興ざめの洋画って
多いですよね(><)
きっと内容を分かり易く伝えるために、
配給会社さんが苦心して付けたとは思うのですが、
逆効果のケースが多いように思います。
私も不釣合いな邦題なら、
原題のままでも良いと思うのですが。。。
ながつきさんの鮮やかな説明で、読まれた方はきっと観たくなりますね
南アフリカを扱った映画は何度か観ました、有名な物では「遠い夜明け(87)」
デンゼル・ワシントンもケビン・クラインも良かったですね
最近観た物では「マンデラの名もなき看守(06)」ジョセフ・ファインズが上手でしたが
マンデラ役のデニス・ヘイスバートが体格が良すぎで、どうしても「ザ・ユニット」の
ジョナス・ブレインを彷彿とさせ、長身で痩せたアフリカ系の役者使って欲しかったと
無理な事思っちゃいました^^
「インビクタス」必ず観に行こうと思います^^
「硫黄島からの手紙」の時はそれはもう嬉しくて嬉しくて・・・・・・
話を大きく逸らしてすみません(汗)
「インビクタス」に邦題がくっついたのはおそらく、インビクタスだけだと何の意味か、
どういう内容か掴み辛いかもしれないということなのかなと思ってます。私は取り払って
欲しかったですが(汗)
観たい映画のリストに入れとかなくちゃ。