Dr.パルナサスの鏡
- カテゴリ:映画
- 2010/02/10 23:38:34
今年2作めの映画舘鑑賞。
テリー・ギリアム監督による悪魔と賭けをして不死の命を手に入れたDr.パルナサスの物語。
劇場仕立ての馬車で街から街へと巡業を続けるDr.パルナサス率いる一座の出し物は、
出し物は、魔法の鏡「イマジナリウム」
1000年の時を生きてきたDr.パルナサスの瞑想に導かれ舞台に据えられた鏡をくぐりぬけると、
そこには、それぞれの人の願望を反映した幻想の世界が広がります。
座員は、博士の美しい娘ヴァレンティナ、こびとのパーシー、曲芸師の若者アントン。
そこへ、一座に助けられた”吊るされた男”記憶喪失の謎の男トニーが加わり…。
なんだか憎めない悪魔Mr.ニックを演じたトム・ウェイツがとても印象的でした。
Dr.パルナサスを演じたクリストファー・プラマーとの掛け合いも楽しかったです。
この方いくつだった?と見ると、御歳80歳。なんと、カールじいさんよりも年上ではないですか!
また、撮影中にトニーを演じるヒース・レジャーが急逝するという悲しいアクシデントはそれを感じさせず、
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルとの4人が1役を違和感なく演じていました。
ジョニー・デップのパートが短くて少し残念でしたが、あれ以上長いと他を喰ってしまいそうだし、
コリンのパートはやや弱く思いましたが、映画の全体バランスとしてはあれでいいのかもしれません。
1度でも悪魔と取引したものは同じ過ちを繰り返すのごとく、
悪魔との賭けを繰り返してしまうおろかな老人Dr.パルナサス。
ゲーテの「ファウスト」がベースになっているのですが、
ボロをまとうDr.パルナサスはまるでリア王その人のような姿で描かれています。
王に従う道化と父を思う娘。
けれど、リア王のように娘の遺体を抱いて嘆くことにはならず、愛による救済で物語は閉じられます。
Dr.パルナサスがファウスト博士、悪魔のMr.ニックはメフィストフェレス、
グレートヒェンは、ヴァレンティじゃなくてトニー?!はて?
ひとつひとつ深く読み解いていくこともできるのだろうけど、難解な作品ではなく、
表面的にはあっさり「幸せとは何か」を問うています。そして何より「物語の力」が描かれた映画でした。
人生の誘惑と選択。そして選択しないという選択。
テリー・ギリアムに導かれれたスクリーンの向こうには観る人によって違う世界が広がるのでしょう。
Dr.パルナサスはテリー・ギリアム監督自身のようだと思いました。
ギリアム監督なら、自分が物語を作り続けていないと世界がダメになってしまうと本気で考えていそうです。
人の想像力はきっと世界を変えることができる。そんな監督に、かぎりなく敬意と共感を覚えるのだれど、
何故か彼の想像物はなんとなく肌にあわないことがあって、この映画もなんとなく好きではありません。
Mr.ニックは好きですが。とくにMr.ニックが雲にのって空を歩いていくシーンがお気に入りです。
『未来世紀ブラジル』後にさすがに大変だろうな〜、と思っていたので。
監督の名前だけで「見たい!」と思うんですけどね〜。
>tararaさま ジョニー・デップのシーンは説得力がありました(笑)
そうなるって!と力いっぱい思います。うらやましすぎでした。
>nagataさま ヴァレンティナのリリー・コール、とってもキュートでしたね♪
死生観の哲学的なものを 映像の力で エンターテイメントに仕上げた作品
一言で言うと そんなところかな
リリー・コールが お人形さんみたいでかわいかった。
パイレーツもほんとはウィル・ターナーの物語のはずが、ジャック・スパロウの物語になってしまったもんね^^
テリー・ギリアム監督&ジョニーデップの「ラスベガスをやっつけろ」はハチャメチャな映画だったので
パルナサスもきっとそんな感じなんだろうな~?と思ってましたが、ながつきさんの★が多くて
ますます見たくなりました!私に理解できるのだろうか~?
ありがとうございました♪
複雑で理解しにくいという話をきいていて、逆に興味をもってましたw
「幸せとは何か」を問うている、と全体の指針がわかれば 複雑な作品も理解しやすいですね。
みてみたい映画リストにいれさせてもらいます☆