最近の森博嗣
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/02/04 23:58:16
このところ買う本と言ったら森博嗣だけ。
「どきどきフェノメノン」
「銀河不動産の超越」
「少し変わった子あります」
このあたりが最近読んだ本。
最近の森博嗣は、トリックなどを書いたミステリではなくて、回答のわからない不思議な読み口を目指しているらしい。
でも、「どきどきフェノメノン」は、意味不明だった。
最近の学生など、今時の人たちの雰囲気を書きたかったようだ。
場合によっては「キモイ」と言われるような人たちの様子なのだが、当人たちは普通にしているつもりだ。
そうしたことは読んでいてわかるのだが、じゃあ、面白い本かとなると、何ともない気がする。
今の時代が現れていると言う意味で、在った方が良い本ではある。
「銀河不動産の超越」も、具体的な出来事としての話は、とりたてて無い。
ただ、落語などに在るような、なんだかわからないけど物事が転がっていって、「巡り合わせ」とでも言うように事が進んでゆく。
これもまた、現在の日本を舞台に「縁」というような話を書いてあると思う。
でもやっぱり、僕には面白くなかった。
今の日本の雰囲気が現れていると言う意味での、存在価値がある本だと思う。
「少し変わった子あります」これは面白かった。
僕の好みに合っていたし、読み手の中から風景を引き出して感じさせる文だった。
日常生活には、考えてみると不思議なのに、日常の出来事だから、不思議だと感じなくなってしまっている事は多い。
それを、ふと、不思議だと気がつくと、世の中が少し変わって見える。
誰でも、近所の町で、ほとんど客がいないのに、なぜか潰れないお店とか、見たことが在ると思う。
現実には、店主はすでに何らかの生活保護など受けているとか、具体的な秘密が在るのだろう。しかし、多くの人は、そうした事は見ずに生活している。
そんな、今の日本の社会を、少しミステリアスな話で表現している。
今まで僕が読んだ森博嗣の中では、
「探偵伯爵と僕」「カクレカラクリ」と「少し変わった子あります」
この三作が好きだ。