20年前のマリー・クレール
- カテゴリ:日記
- 2010/01/30 03:03:59
海と山が近い、神戸のとある町。尾道に似ているかもしれない。
狭い駅前は商店街と呼べるほど店はないが、生活必需品は手に入る。
駅前に一軒しかない魚屋は安くて新鮮。少し行けば、肉屋も綺麗で美味しい。ミニコープがあり、郵便局、信用金庫と続く。
海辺の田舎町の風情だが、三宮には電車で15分と近い。
そこに母が一人で暮らしていた。
昨年の11月から入院した母。足の悪い母には、もう一人暮らしは無理だった。わたしの住んでいる近くにケア付きマンションが見つかり、移ってくることになった。病院から日帰りで荷物を選別させ、あとはわたしが荷造りをした。
わたしがこの家で暮らしていたのは、20年くらい前になる。
車が入り込めない細い坂道をゆくと、田んぼを見下ろすようにぽつんと
一軒家があった。築四十年を過ぎている、くたびれた家だった。
背伸びすると遠くに海が見えた。静かな夜は、風が海沿いを行く電車の音を
運んでくれた。
母と二人の女所帯だから、雄犬を一匹貰ってきた。
念願のワンコだった。
母は今でも子離れできない人だ。その分、わたしは重たい思いを抱える。
いろんなことを思い出しながら、たくさんのゴミを造り、荷造りをした。
友だちの手紙も出てきた。メールを送り読みたいか訊くと、「恥ずかしいから
処分して」と笑顔マークの返信が来た。
美人薄命を地でいった友の、一通だけは捨てきれなかった。
わたしが家を出る時、かなりの本を処分した。
残しておく本は段ボールに詰めた。迷った本は棚に残した。
結局、いろいろあって、段ボールはこの家に留まっていた。
開封してみると、手元に置いておきたい本の選別は正しかったと
再確認できて、少しばかりほくそ笑む。
やはり多いので、少しは軽くしたいと思うが、どれも捨てがたい。
結局、全部持っていくことにした。
その中に雑誌がある。
「マリー・クレール」
すでに廃刊となっているはずだ。
20年前の「マリー・クレール」
当時は売り切れたこともあった。
初めて出会ったのは、背伸びして行った高級感漂う美容室
そこにあった。美しい外人モデルの表紙、センスのいいファッション雑誌
だけ、ではなかった。
文芸、芸術関係の記事がハイレベル。解らない事の方が多かった。
こんなすごいファッション雑誌があるのか!
それから毎月購入するようになった。
毎月、全内容を読めない。解らない事の方が多いからだ。
この雑誌で、いち早く、カミュー・クローデルやフリーダ・カーロを知った。
カミューはロダンの愛人であり一番弟子だった女性彫刻家。フリーダは
メキシコの女性画家だった。
いろんなことを教えてくれた雑誌だった。
連載に名を連ねるのは 吉本隆明、浅田彰、海野弘、辻邦生、池澤夏樹
中沢新一、ロングインタビューは藤原新也、今見ると錚々たる錚々たる面々ではないか。。と驚くばかり。当時はあまりわからなかった^^;;
ただのファッション雑誌を文芸雑誌に変えたのは、名物編集長、安原顯
破天荒で、毒舌家であったらしい。
最近では村上春樹の生原稿を売ったのではないかという疑惑騒動も
あった。2003年に亡くなっておられた。
雑誌をパラパラめくると、20年前のわたしが早送りで巡っていく。
あの頃は頭のイイ人に恋をしていた。
話題作りの為に、いろんな本を読んでいた。そのおかげで
恋以外にも、いろんなことを考えるきっかけになったのかもしれない。
今読むと、解る個所が随分増えた。
ありがたいこと^^;;だ。
マリー・クレールの黄金時代は数年間で、あとはただのファッション雑誌に
戻ってしまった。編集長が変わったからだ。執筆料も高く、採算が取れなかったのか時代なのか。。
豪華な雑誌だった。
雑誌に手を止めている間に、日が暮れて、気温がぐっと下がる。
芯まで冷えて、また、荷づくりに戻る。
そんな数日を経て、引越しをした。
雑誌が入った段ボールはわたしの家に送られた。
箪笥の裏には20年分の埃が降り積もっていた。
遠くで鳥の声がした。裏は山だ。ムカデも虫もいっぱい侵入してきた。
地震で少し傾いたようだが、なんとか頑張ってくれた。
また、3日ほどしたら掃除しにくるからね。
電気を消して、手に懐中電灯を持ち、カギをかけた。
頬が冷たい。今年の冬は寒いな。
上を見上げると満天の星空。
枯れ残った落ち葉をサクサクと踏んで、細い坂道を下る。
それが昨日こと。。
お互いに言い分があるだろうしね。
わたしはいつもフェアなことを心がけているので
両方みてみないと解らないなぁと思って、見に行ったんだけど
すでに、全部、何もなかったんです。
きっと似た部分があるのね。
プラスとプラスは時に反発しあうから。
また、きっと、戻ってこられるでしょう^^
伝言板を見て、手毬さんが彼女のところに行ってくださったのだと分かりました。私の不届きな部分をフォローしてくださったのだろうと憶測しています。お忙しいのに、お手をかけてしまい、申し訳なく思う気持ちとともに、とても感謝しています。
ありがとうございます、いつもいつも。
お元気でしたか^^
引越しは、季節が悪かったようです。
この冬は特に寒くて、山の上の方なので火の気がないので
カイロを貼りまくって、作業してました。
わたしは別に住んでいて、母がここで一人暮らしをしていたんです。
母は、今の場所にかなりの戸惑いを覚えていて、これからが少し大変かもしれません。。
まぁ、時間が解決してくれるでしょう^^;;
らてぃあさんも本好きみたいですもんね^^;
本は重たくて場所を取って、どんどん増えていきますね^^;
でも、捨てられない。
何よりも、昔読んで解らない部分が、何年経って読むと解る!
ここに自分の成長を、勝手だけど見出して、一人納得するなんてことがあります^^;
ボロ家でしたが、そう、わりと好きでした。
いつかは、ここで暮らすのが無理になるだろうと思っていたんです。
だから、一気にやってしまおうと^^でも、寒かったですね。
母は今の所があまり気に入らないようで、これも手が焼ける話。
もう少し、母にもゆっくりと決めさせてあげればよかったのですが
その余裕が、わたしにも、時間的にも、モロモロの問題的にもなくて、
仕方がありませんでした。
まぁ、一人で頑張ったに割には、いつもながらの母との喧嘩ばかりで^^;
時々情けなくなるのです。
体がしんどいよりも、母が依存心が強い、精神的に子供みたいなので
こちらの方が、ひどく堪えます。。
今に始まったことじゃないんだけどなぁ。。ホント。。
須磨を少し過ぎたところ、と言えばわかりやすいでしょうか^^
この辺りから風景が片田舎風になってくるんです。
海と山もかなり接近している地域だと思います。
三宮や神戸辺りの風景は変わったけれど
震災の被害も少なかったせいか、あまり変わらないままです。
何もないところかなぁ。。
あの雑誌だけは特別だったような気がします。
でも、時代が「知的」がおしゃれだったみたいで、(何かで読むと)
それなりに女性誌も文庫本ベスト100なんて特集もチラホラ見かけました。
そんな企画もなくなり、最近は実用本位ですね。
雑誌は全く買わなくなりました。。
本も売れない時代になってきましたもんね。寂しいなぁ。。
ヒロさんは関西出身ですものね^^
神戸も西に行くほど、田舎っぽい風景になってきます。
フランスの女流画家のリトグラフをお持ちなんですか^^お洒落ですね。
どんな絵なんでしょうか^^ちょっと気になります。
遅くなりましたが、お引越し、お疲れ様でした。
新しい生活には、もう慣れてきたでしょうか。
お引越しというのは、精神的にも体力的にもとっても負担のかかる作業だと思います。
少しずつ、ステキな思い出が積み重なっていきますよう。
黒猫手毬さんのこれからを、かげながら応援しております(><
モコちゃんの明るくテンポにある文章、優しい、少しお人よしが隠れていて
大好きですヨ。
なんていうのか、母とは葛藤の連続なんです。
とてもしんどい相手です。
この家で一緒に住んでいた時も、何度も家を出てやろうと思ったことか。
わたしは、母なしの方が楽に生きていけたけど、
母はわたしなしでは、大変だったのが分かっていたから。
こちらが、大したことだと思っていたかったことが
母には大切な思い出みたいで、その落差と距離感が埋まりません。
モコちゃんが書いてくれたような淡く切ない情景ではなくて
もっと乾いた冷たさがあるんです。
現実は厳しいですね^^;;
モコちゃん、どうぞ、明日は楽ではないけれど
いろんなことを諦めないでね。
無理をせず、さりとて、甘やかさず、自分を見つめていくことが
きっと未来に繋げていけると思うから。。。
月日は流れて、思えばあっという間でした。
この家は、奥まった古い家で、ボロボロで冬はとっても寒いのです。
越してきた時、小さな庭に前の人が植えていたさつまいもがあって
収穫して、それが楽しかった。
物心ついた時から、大好きだった犬も飼えて
子どもみたいに執着してくる母の干渉に苛立ちながらも
バタバタと暮らしていました。
楽しかったです。
それも終わりですね。いつかは。。で。それを受け入れ難く思っているのが
母なのかもしれません。
親と上手く折り合いがつけらないのは、たぶんわたし自身も
じゅんさんと変わらないかもしれませんね。
時は行き過ぎます。
それもあっという間です。。
そうだね。時間の問題だとは思っていたの。
いつかは引き払わないとって、母も生活していくのに大変だし
わたしも片道1時間以上は辛いものがありました。
またステージは変わって、それで躓いています^^;
まぁ、いろいろと子どもみたいな人だし、こちらも疲れていて
余裕を失って、優しくできない部分があるので、もう少し時間が必要ね^^;
優しくなれないことは、結構、堪えます。
でも、すべてはね、無理だから。。
そうバブルが終わりを告げる頃、思えば華やかな時代であったのかな。
あまりわたし自身には関係なかったけれど^^;
ルルちゃんも頑張っているんだなぁと思うと
元気を貰う気がします。
感謝感謝^^
たまたま、新築であったんです^^
偶然なので、良かったと思います。
ただ、例にもれず、費用が^^;;辛い物があります。。
大変な時は必ず食事を摂るようにしています。
とりあえず、食べてさえいれば倒れませんよ^^;;
なんだか切ないですね。わたしも^^;
老いた母が暮らすには厳しい住環境だったので、バタバタと決めて実行してしまいました。
それが最善だったと思うけれど、母は自分が望んだにも関わらず
気に入らない事が多いらしく、連日喧嘩ばかりです。
少し情けなくなってます。
わたしもかなり疲れてきているので、母に優しくする精神的余裕がないせいもね
あるんですね。
何もかもだもんなぁ。。とため息が出てきます。
それでも、近くなった分、楽な点はあります。
さて、本人が環境に慣れることができるかが問題。
字もその人の個性が出ますからね。
毛筆がお好きということは、字が綺麗なんですね。
メールは手軽で、速いし、利点もありますね。
手紙やカードはいつまでも残りますね。
それぞれ嬉しい時があります。
切ない風景が目に浮かぶような日記でした。
書物にも場所にも思い出がある。それを胸にしまって歩んでゆくんですね。
思い出とともに頑張ってくださいね。
何も無くなった時の思いがまた格別で・・・
ガランとなっても、我が家の香りってほんのり残るんですよね。
長く生きてると、人との別れもあるけど
慣れ親しんだ場所との別れも経験しなけりゃならない。
避けて通れないけど、やりきれない面もあるよね。
マリー・クレールは覚えています。
やはり病院や美容室の待ち時間に読んでいましたが
豪華すぎて、自分では買いませんでした。
恋の思い出と重なる発見・・・ちょっとした宝物を見つけた感じですね^^
どこだろな?
俺は学校が神戸だったんで、けっこううろちょろしてましたからねw
思い出のあるお家ってことは確かですね。
マリー・クレールかあ。
懐かしいな。
まだまだ冬はこれから寒いから、風邪ひかないようにしてくださいね。
今のファッション雑誌はどれも同じような感じなので、
その時の雑誌のようだったら読み応えあって良いですね。
引っ越しの準備は色々と大変なので御身体だけは無理しないようにして下さい。
ワテにも懐かしい神戸の町の雰囲気。 マリー・クレールと言う雑誌は知らないけれど、マリー・クレール・○○○○と言う、フランスの女流画家のリトグラフは持っている。
日本のファッション雑誌に使われた画家ですわ。
古くなってかさついたページをめくる指先とか、部屋の明かりが日が暮れたことで
少し明度が落ちた様子とかそんなところまで見えてきそうです。
肩にかけていた手編みのショールが少しずれたのを直しながら、たくさんの本を前に
苦笑してるような姿とかも。
そんな文章が書けるようになりたいと思いつつ幾年月…(苦笑)。
大掃除という人生の節目に行うまつりごとには
思わぬ再会が待っていますよね。
お元気そうで何よりです。
今日見上げた星空の放つ光は
あの頃よりも遥か昔に解き放たれたもの、というのも
なんだか不思議な気がしますね。
思い出の詰まった場所を離れる、お母様と手毬ちゃんの気持ちを思うと
何とも言えない気持ちになります。 時は流れ、状況は変わっていくね。
昔自分が読んだ本を開いたり、昔流れていた歌を聞くと、一瞬でその時の自分に
タイムスリップするね。 20年前はバブルの時代かな。バブルが終わりを告げる頃か...
当時別々の地で別々の時を過ごしていたけれど、
何かのご縁で、ここで手毬ちゃんと出会うことが出来たことを感謝しています。
手毬ちゃん、いつもありがとう。 そして無理しないでね^^
家を離れることは寂しい
ものですよね
いろいろな思いが思い出
せる場所でもあるですか
ら・・・
自宅側でケア付マンショ
ン見つかってよかったで
すね^^
無理をなさらず自分の健
康にも気を使ってくださ
い^^
今みたいに電子メールなんて無かった時代。
ま、今でも電子文字嫌いだから手紙は毛筆で巻紙なんか使う事も多々あります。
単に、パソコンで手紙作るの苦手なだけってオチもあるんですけどね(苦笑
何かね、電子文字って軽い感じがしてダメなんですよ。
いくら飾り立てても心がこもらない。
まぁ、私だけが感じるのかもしれませんけどね・・・・・・・・・・・・
マリー・クレールは古本でも売れるかもしれない^^;
もっと全部置いておけばよかったも、などと、よこしまな事を考えてしまいます。
日本は出版文化が他国に比べ、とても盛んなんですね。
海外の翻訳本も破格に多いんです。
文化的レベルが問われるのが自国の出版文化。
誇るべき部分なんだけれど、
年々、衰えて、倒産す出版社も増え、本の回転も速く
購読層が減ってきていますね。これは、とても残念なことです。
月日は人を待たずで、歳だけとって中身は^^;???
変わらずじまいかもしれません。
とりあえず、引越しは終了しました。
ありがとうございます。
お引越し準備、お疲れ様です。
一人一人癖のあります文字のお手紙は、私もやはり大切に取って御座います。
マリー・クレール・・・検索してみました。
美しい外国の女性がモデルさんとして、表紙を飾られておりますね^^
内容を理解致します事から楽しめます本。
黒猫手毬さんの本との出逢いが、素晴らしい感動だった事が
ブログからお窺い出来ました。
懐かしいのですよね。
昔の雑誌など、手に取り眺めておりますと
当時の自分や、起こった出来事などが
蘇って参ります^^
『長』が交代されますと、がらりと御姿を変えられてしまいます事は
何にでも良くある事ですが、以前の本をとても愛しておりましたら
とても寂しいですね・・(;;)
変わらないで有り続けます事は、本だけにあらず
とても難しい事とは思いますが(++;
夕方からは特に冷えますので、どうかお風邪など召されませんように^^