Nicotto Town



平尾の論理5

4からの続き↓

-原点にラグビーの楽しみがあったからこそ、その後の試練もレベルアップのためと思えた

私自身、こうして長年ラグビーに親しんで生きてこれたのも、自分の内側にモチベーションを持てたからと思っています。ラグビーが好きでたまらないから、常にもっとうまくなりたいと思っていました。そして、人に指示されて動くのではなく、自分の判断を活かしてプレーしていくことの喜び、プレーを創っていく喜びがあったからこそ、自分に厳しい課題を課してこれたのだと想っています。

そんな私のプレーの原点、モチベーションの原点を創る環境を与えてくれたのが、中学の時の顧問の先生です。大抵の場合、運動部の顧問は体育の先生ですが、その方は美術の先生でした。だから発想が常にクリエイティブで、ジャージ上下の色のコーデイネイトを気にするような、洒落っ気のある人だったのです。先生は私たちのプレーにあれこれ制限を加えることなく、生徒の発想を重視してくれました。だから、私たちは常に考え、工夫し、トライすることを許されたのです。私はそこで、判断する楽しさ、プレーを創っていく楽しさを覚えました。

進んだ高校はラグビーの強豪校で、練習はどちらかといえばパターン化した部分が多く、先生も怖くて、中学とは違った環境でした。確かにチームメイトの多くは、自分のモチベーションというよりは、先生が怖くて動いていたという部分があったでしょう。実際、私も中学の経験なしにいきなりあの高校の環境に入ったら、人に言われて動く選手になっていたかもしれません。しかし、すでに私は内なる向上心を植え付けられていましたから、「上達のために通過しなければならないもの」としてプラスにとらえることができたのです。

そうした私の姿勢を見て、先生もやがて私の判断を活かすような環境を用意してくれました。そうなると、重い責任を背負わされて、ますますやる気が出てきます。よりレベルの高いプレーを目指して、自分自身で一層、厳しい練習に取り組むようになりました。ですから私は少年期の指導者には、いかにしてそのスポーツを好きにさせるかを工夫することが大事だと言い続けています。好きになれば、うまくなりたいから、強くなりたいから、自然に一生懸命になり、自分のためのモチベーションを育てることができます。どんな種目に携わっていても、自分の内なるモチベーションを持って、自分の頭を使って判断して、プレーを創り上げていく喜びをつかみ取ってほしいと思います。

-始めから「戦術で勝負」と逃げてはダメ。フィジカルな部分も限りなく近づけていく

日本のボールゲームでは、しばしば日本人の戦術という面 が強調されます。技術、体力で外人に劣る分を戦術的なもので補おうとする発想です。しかし私は、初めからフィットネスの部分を諦めてはいけないと思っています。常にフィジカルフィットネスを高めていく努力が必要です。戦術をいたずらに重視すれば、プレーに決め事が多くなり、結果的に個人の発想を制限します。それでも戦術的なことが高度に機能すれば当面 はいけますが、すぐに分析されて対策が立てられてしまうでしょう。そうなると、その戦術が破られるか否か、バクチを打つようなことになってしまいかねません。

プレーとは最後は個人の能力なのです。瞬間、瞬間にいかに個人が質の高い判断と動きを生み出すか、そこにかかってきます。その点から、例えばフィットネスをレベルアップして今まで5メートルあった差を3メートルにまでつめれば、それまで使う余裕のなかった技術も使えるようになるでしょう。そうなると戦術にもバリエーションが増えて決め事で勝負していくバクチではなくなるはずです。

いまジャパンは、パシフィックリム大会でまだまだ勝負という意味では最良の結果は出ていませんが、ボールの保持率を調べると以前よりずっと時間が長くなっています。同じ負けでも、以前のように相手に余裕がある中で負けるのではなく、攻撃の回数が増え、最後まで対等に競り合う試合になっています。ものすごく時間がかかるでしょうが、今後も長期的視野で改革を進めていきます。まずは99年のワールドカップ出場権を獲得し、本大会で今までにない日本のラグビーをアピールしたいと思っています。

(このインタビューは1998年に行われたものです。)

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2009/01/16 21:19
ううー。
いやーつくづく今の顧問に出会ってよかったです。
前の鬼コーチの時は、
「このプレーしたら怒られるから絶対にやめよう!!」って
友達と打ち合わせしたりして、プレーも逃げ腰で・・・。
今思えばそれが怒られてた原因だったのかもしれないですねえー;笑

でも、楽しさは全くなかったけど、
体育館にいない時の時間の過ごし方の大切さを知りました。
鬼コーチになってから必ずその日あったことを反省するようになったし
次の日になるべく同じミスの無いよう、緊張しながらできた。
でも、平尾さんの言うとおり
まずは楽しさを教えてくれなかった。ってことで
正直鬼コーチの印象はあまり良くない。

だからこそ、若いコーチを慕うことができてるのかもしれない。
人のブログで語るとか失礼なことを・・・;
すんません(>_<)



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